年の瀬の昨日
お墓の掃除へ行った。
息子が張り切って頑張ってくれる。
冷たいのに水拭きも一生懸命で、
全く手を抜かない。
線香を上げ、手を合わせる時、
地べたに正座をして数分。
何を思うのか、
随分と長い間手を合わせてした息子だった。
その横顔を母と眺めながら、
微笑ましさと深い悲しみを思った。
お父さんは居ない。
ここへ来ても、温かい気持ちにはならない。
どうして、こんな所に私は居るのだろうと
いつも混乱してしまう。
『来てくれてありがとう』って言ってるよ…と
想像の世界でお父さんの台詞を口にしてみたりするけれど、
やっぱりこんな寒くて寂しい所には
居る気がしない。
息子にとっては楽しい楽しい一日。
昨日はおばあちゃん宅に一人でお泊まり。
実家近くのサッカーのお友達と遊ぶ約束もして
リュックサック一杯の荷物と
その中にはワクワクも詰まっているようだ。
父が居なくなって最初の年は、
大晦日から実家に2泊した。
どうにもこうにも、
母が一人でこの日を過ごすのが
可哀想でならなかったから。
このことが我が家では当たり前のことでは
ないから、
なかなか言い出せなかった私に主人は腹を立て
大喧嘩をした。
私の中では、この年のお正月は、
実家で母と過ごすのが正解だと思っていた。
何に腹を立てているのか分からなかったが、
義実家へ電話をさせられた。
電話口で泣けてきた。
母とお酒を飲みながら父を想い、
号泣した一昨年のお正月は
色んな意味できっと一生忘れない。
去年は、母を呼んで餃子パーティーをした。
100個近い餃子を頑張って作り、
得意の豚汁と共に、
楽しくお酒を飲んだ。
母もとても楽しそうだった。
寒い夜、母を真っ暗な家に送り届けた。
寒くて静まり返っている家は、
どんな感じんだろう…と想像して
悲しくなった。
私はニワトリの朝夕のお世話もあるし、
一人にもなりたかったから。
だから、息子一人でお泊まりをさせた。
のんあるを飲んで、
おばあちゃんとおつまみを食べながら
楽しく過ごしてる様子を、
途中電話で教えてくれた。
おばあちゃん孝行の息子だ。
作ってくれたグラタンを
『美味しい、美味しい』と電話口で
テンション高く言っていた。
ニワトリちゃんが生きている間は、
息子一人におばあちゃんを託す年の瀬も
いいかな…。
お父さんもきっと、
ニコニコと笑いながら、そこに居たよね。
大晦日と元旦の夜を
初めて一人で過ごすお母さん。
やっぱり、そこには、お父さんが居るよね。
紅白途中で寝てしまうお母さんを
見守っているよね。
脳の半分で両親のことを想い、
脳の半分でストレスを抱える。
ニワトリが死んだら
山へ捨てるんでしょ?と
さらりと言った義母。
火葬なんて…アハハと笑った。
明日は義実家で過ごすが、
ニワトリちゃんのお世話をしたいのに、
夕飯も良かったら…との話が旦那経由で。
ズドンと落ちてしまった
おかしな嫁でごめんなさい。
追伸として、
間違っても山へ捨てるなんて出来ません。
ニワトリに1ミリも興味のない主人の前で、
母はニワトリの話をしつこくするでしょう。
娘が可愛がっている
可愛いニワトリ。
合わせられない主人はそれなりの反応をして、
それが気に入らない母。
想像出来てしまうが、
きっと現実はもっと冷め冷めとしてる。
主人と母は、
取り繕ったように仲良くすることすら、
多分もう出来ない。
毎日心が震える想いだった。
お正月までのカウントダウン。
色々と冷めてしまった。
心も身体も疲弊していて、
このところずっと
『お父さん…お父さん…』と呟いている。