リハビリの病院を退院してホームへ入居、2週間経過した。冬休み中の娘を連れてきていたので、毎日のように母娘孫で父に会いにホームに通った。母も娘もにぎやかに声かけしたり触ったりしてくれるので、父は目を覚まして反応してくれた。母の話す言葉に思わず父が笑う。

「お父さん、早く治ってシャー、ってあるいてや」 父笑

「お母さんなんかおもしろいこと言ってお父さん笑かして」と言われて「えー?」と困る母に父笑

「この3人でだれが美人ですか」「私か?」「私?」「私?」 父笑

ところが、私の仕事始めで訪問が夕方になると、父も眠いのかなかなか覚醒できず、反応が悪くなった。今日は入浴後だったのか、カーテンも締まり、睡眠中だった。ちょっとずつ起こして、足のキックをしてもらったり、手をにぎってもらったりしたが、握る力もか弱かった。母に「お父さんに話しかけたって」と促すと、「お父さん、何か食べたいものある?」と聞く。母に、父の好物を聞いてみたが、とくにないなあ・・・と首をかしげる。私の知る限りで「お父さん、食パンか?」と聞いてみた。母が「食パンがたべたかったら、おめめをパチっと閉じてください」という。すると、しっかり目を閉じた。手を握る力がなくても、瞬きで意思表示ができるのか、と気づかされた。そしてやっぱり食パン好きだったんだ。これは使えると思い、いろんなことを聞いてみた。父のことを心配して電話してくれる、中学時代の同級生さん、職場同期、父の妹たち、姪の名前を挙げてわかるか聞いてみた。どれもしっかり目をパチっとしてくれた。やっぱり話せないだけで、よくわかってるのかもしれない。