僕らが旅に出る理由 -22ページ目

僕らが旅に出る理由

音楽と食べ物と気持ちがいい場所。

あの大震災の日。
私は福島県の海沿いの街でお坊さんをしておりました。

子犬の蓮ちゃんと2人で山の上の大きなお寺に住んでおりました。

誰でも知ってるような大きな会社の営業だった私はノルマや仲間同士の足の引っ張り合いに疲れ、出家してお坊さんとして、また元教員だった事を活かしてお寺を不登校の子供達の居場所にして、
農作業をしたり自然の中でゆったりした暮らしを目指す寺子屋を作ろうと夢見ていました。
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3月11日のあの日はちょうど団体の観光客がお寺に来ていてお見送りを終え、境内の掃除をしていた時に地震が起きました。
ものすごい揺れと地鳴りにすぐ持っていた携帯で揺れるお寺を撮影しました。
お寺の本堂は1600年代に作られたもので倒壊する恐れがあり、記録の為に動画で残さないと。と瞬時に判断したのでした。

地震はかなり長く続き、境内には地割れが起き、もう終わりだ。と呟いていました。
地震が収まり、火の元を確認し、山の下に住むお年寄りの集落に向かいお年寄りの安否を確認しに行きました。
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お寺に1番近い家は88歳のおばあさんが独りで住んでいるので助けに行きました。
倒れた家具の中でおばあさんは震えていて私が行くと安心して泣いていました。
直ぐにヘルパーさんが来てくれたのでおばあさんを預け、他の人の安否を確かめに家を出ると消防団のクルマとすれ違いました。
坊さん無事だったか!お寺倒れたと思ったぞ!
消防団は私の安否を心配で駆けつけたようです。消防団と一緒に手分けして近所の方の無事を確認し消防団と別れ、自分のお寺に戻り、お寺の被害を確認すると柱がひび割れ、土台は地盤沈下で沈んで隙間が開いていました。

余震は何度も続き、倒壊の危機は続きます。 
倒れたお地蔵様を起こしていると私の名を呼ぶ声がします。
何と海の近くに住んでいる母親がお寺の坂を登っていました。
無事だったのか!と安心して駆け寄ると母親は予想してなかった言葉を叫んでいました。

津波が来るぞー!!

うちは海の目の前。もし津波が来たらひとたまりもないでしょう。

母親の手を取り、お寺の隣に建っている自宅のテレビを付けました。

テレビには大津波の文字。

これからの日々は一生忘れる事は無い暗黒の1年でした。