東京は夜の七時。
あの子から連絡が来た。
仕事終わって 恵比寿にいるらしい。
ちょっとしたジャケット羽織ってすぐに家を出る。
ウインカーを右に出して 3分。
ビール工場をすぎて恵比寿駅が見える道にあの子は
立ってる。
僕の車に駆け寄るあの子。
恵比寿を抜けて旧山手通りを通り過ぎる。
オシャレ過ぎてこの通りは苦手だ。
そのまま首都高に乗り すぐに渋谷の喧騒。
六本木のビルの夜景を見ながらカーブを曲がると真っ黒な空に浮かぶ東京タワー。
芝浦ふ頭を眺めながらレインボーブリッジへ。
お台場で降りて秘密の見晴らしのいい場所にクルマを停めてシートを倒す。
東京湾の夜景。通り過ぎる船。
輝くビルの光。僕らは話さず黙ってるだけで
それだけでも幸せ。
~2年後~
夜の七時。
仕事を終えて帰宅。
ドアを閉めるときに先日洗ったばかりの車が
花粉で真っ黄色になってることに気づく。
また休みの日に洗車しなきゃ。
気づけば 休みのたびに洗車してるのか
いや 洗車の為に休んでるのかもしれない。
玄関先で僕を迎えるのは シュナウザーのバロン。
しばらく トリミングしてないので 毛玉の中にギョロリと目があるような 毛玉オヤジと化してる犬。
冷蔵庫には 頂いたタケノコの煮物。
煮物に鰹節を振り、一口。また一口。
絶品!!!
ビール飲みたいな。と思った瞬間に電話が鳴る。
上司だ。
上司に呼ばれてメシくおうぜ!と
急遽サイゼリアへ。
田舎は既婚者だらけで
上司は独身者仲間が出来て大喜びだ。
一番近いサイゼリアでもクルマで20分。
急いでるので近道の農道を走ったら
タヌキやイタチ。道路を横断するカエル。
あまりに暗いので 試しにライトを消してみたら
1メートル先も見えない真っ黒なフロント。
たった2時間東京から離れただけでこの暮らしである。
ちょうど車内のBGMからこの曲が流れて
2年前までの生活を思い出してしまった。