昔もりそばとせいろそばは、そばを盛りつける器が違うと言う事は世間一般常識論ですが、ざるそばともりそばは、そばに海苔が掛かっているか如何かと言う違いも有ると考えている方が多いかも知れませんが、実はもう少し深い蕎麦の歴史が有るんだそうです。江戸時代の蕎麦は小麦粉を使用せず茹でると切れ易くなる為、蒸す調理法が用いられ、此のせいろを器として使った蕎麦がせいろ蕎麦と呼ばれる様になる。一方、江戸っ子達の間で直接汁を掛けて食べるぶっかけそばが流行した時に、それと区別する為に従来の汁に付けて食べる蕎麦がもりそばと呼ばれる様になったと聴く。それでは、ざる蕎麦は何時頃誕生したのでしょうか?ざる蕎麦を初めて出したのは、江戸・深川の「伊勢屋さん」であると蕎麦の歴史に載っています。竹ざるに盛った蕎麦が評判となり、真似をする蕎麦屋も増え江戸中にざるそばが広まり更にざる蕎麦にはもり蕎麦よりも高級な蕎麦として”ざるつゆ”と言う特別な汁が作られ海苔が掛けられる様に改善された。現在では、ざる汁を作るお店は少なくなり高級蕎麦の名残として、海苔だけが残ったざる蕎麦を出すお店が多くなっています。然し、江戸に3000軒有ったとされる蕎麦屋の中で初めて、『ざるに盛ろう』と考えた洒落っ気に思いを馳せると何時も通りの『ざる蕎麦』にも、江戸の粋を感じられる筈ですが如何ですか?最近では「ざる蕎麦」「もり蕎麦」「せいろ蕎麦」の呼び名は、お店によって統一されて居る様に思えます。ざるに盛られたせいろ蕎麦も有れば、海苔が掛かったせいろ蕎麦をざるせいろと称するお店も辻褄が合わない事を楽しむのが『粋』の一つだとすると、呼び名の定義はさておき、粋にお蕎麦を楽しみたいですね(笑い。