実話をもとに制作された「陽光桜」という映画作品を鑑賞しました。

主人公高岡正明氏の役を笹野高史さんが演じておられました。

この作品を観るまで❝陽光桜❞の由来も、故高岡正明氏の活動も知りませんでした。

高岡さんは若い頃教職に就いており、この戦争は間違っていると分かっていながらも、自分の生徒たちを戦地へ送り出してしまったことを生涯心の傷として背負っています。

当時は本当はそんなことを言うのもダメだったのですが、「桜の下で再び会おう」と約束した教え子たちへの供養のため、反戦の想いや世界平和の願いを込めた新種の桜を生み出したいと、生涯を捧げた活動を描いた作品です。

南国の地でも北の大地でも咲き誇る強い桜を目指し、天城吉野に台湾緋桜を交配して得られた陽光桜を生み出しました。

高岡さんは伯方の塩でも有名な伯方塩業の創業者です。

創業者ではあるものの経営にはノータッチ、本業を圧迫するほど桜の活動に心身もお金も注いでしまって、ご家族はさぞ大変だっただろうと思いました。

世界平和を願って官邸にも電話をしてしまったり、天皇陛下にも(宮内庁で止まった)電報を打ってしまうので、わざわざ公安から調査が訪ねてきたようです。

息子役の的場浩司さんとそのお嫁さん役の宮本真希さんが、とても味があって好演が光りました。

的場さんのヤンチャで荒々しいけど優しい雰囲気、宮本さんの嫌味の無い朗らかさの力で、作品全体の空気が暗くならずに進んでいきます。

現実でもそうだったようですが、高岡さんの功績は亡くなる前にはご家族はそれほど知らなかったようで、遺品整理をしていたらローマ法王と平和交流をしていた書簡が出てきたり各国の元首からの御礼状が出てきたりしました。

高岡さんのが偉大な人だったことを、ご子息は亡くなってから痛感したでしょうね・・・。


現在もご子息が高岡さんの遺志を継ぎ、平和活動を続けられておられます。

高岡さんが30年かけてこの世に生み出した❝陽光桜❞、私の住む岡山県内でもたけべの森公園やかもがた町家公園で見ることが出来ますが、透けるようなピンク色がソメイヨシノより鮮やかで、大ぶりの花がとても美しいです。