こんばんは。
今日ご紹介する絵は時代劇風景・長屋裏通りです。
川に面した道沿いに樹木が植えられ、橋の欄干だけが見えます。
この道の両側に下見板張りの住宅と、筵が掛けられた店舗と覚しき建物がある情景です。
登場人物が雑談をしながら歩くには、最適なシチュエーションですね。
さて、こちらの絵はComicStudioEXというソフトを用いて試行錯誤しながら描き上げた一枚です。
アナログからデジタルに移行してから、しばらく経った時期でしょうか。
自分の絵が以前とだいぶ異なる印象となっているのに突然気づきました。
紙にペンで描くのと同じつもりで作画しているのですが、どうも仕上がった感じが違うのです。
ペン画特有のどことなく味のある素朴な風合いが一変し、非常に硬くて冷たい、やや硬直した印象の絵となっているのです。
どことなく、金属っぽい質感といいましょうか。
以前ご紹介した武家屋敷路地の絵がちょうどその頃の物です。
この事に気づいて以来、なるべく絵からこの「デジタル臭さ」を消すよう、いろいろ試みる事となりました。
例えばトーンの種類を減らすべくべタを多用したり、道端の草を描くのにブラシの使用を止める等、そうした工夫を始めた頃の絵が今日ご紹介したものです。
こうしたアナログ画とデジタル画の印象の違いを今あらためて考察すれば、アナログ特有の線の不規則な強弱やかすれが結果的に絵に良い効果をもたらしていたという事なのではないでしょうか。
私はデジタル導入以前、ロットリングという製図ペンで作画をしておりました。
ロットリングは均一の太さの線を高精度で描く事ができるのが特徴で、設計の現場はもとよりイラストなどでも広く活用されています。
しかし、実際使ってみると紙の僅かな凹凸で線の太さは微妙に変化しますし、滲みやペンの角度・線を引くスピードによってかすれる部分も出てきます。
こうした不規則さが気になって仕方がなかった私にとって、歪みもかすれもない正確な線が引けるデジタルソフトで作画する事は大いに歓迎すべき事でありました。
しかし今思うと、こうした線の歪さが絵の魅力に繋がっていたという事で、少々皮肉な事と言えます。
実際、今私のいる制作現場ではなるべくデジタル臭さを感じさせない、アナログのような絵作りを目指して模索しております。
デジタルにはデジタルなりの様々な利点があるのですが、アナログで描かれた絵にはなかなか捨て難い味わい深さがあるのです。
尤もこれをうまく融合させるのは、容易な事ではないのですが。
「ワープステーション江戸」の公式サイトより
2013年作成
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