カトリック教会は幾世紀にもわたって,地獄は邪悪な人々の魂が永劫の責め苦を受ける所であると教えてきた。しかし,その教えは変わってしまったようだ。地獄とは「神が外部から科す処罰ではなく,人がすでにこの世で定めている物事から生じる状態である」とのヨハネ・パウロ2世の言葉を,オッセルバトーレ・ロマノ紙は伝えている。同法王は,「地獄とは場所ではなく,すべての命と喜びの源たる神から,自らを恣意的また決定的に引き離す者の状態を表わしている」とし,「永劫の断罪」は神の側の業ではなく,「[神の]愛に自らを閉ざすのは被造物の側である」と付け加えている。
ウォーキングは,減量やストレス解消だけでなく,「血圧や心臓発作の危険」を下げるのにも役立つと,トロントのグローブ・アンド・メール紙は述べている。健康を保つには,ある程度の時間をかける必要がある。どのくらいだろうか。「『カナダ運動ガイド―元気で活動的に生きる』によると,中程度のペースで歩く場合は1回に少なくとも10分,1日に合計60分は歩く必要がある」。早足や自転車乗りを1日に30分から60分,またはジョギングを毎日20分から30分行なうことも健康維持に役立つと考えられる。同紙は,軽くて,通気性があり,底が柔らかく,土踏まずをしっかりと支え,内底が衝撃を和らげ,つま先がゆったりしている靴を履くように勧めている。
ワールド・プレス・レビュー誌は,ロンドンのフィナンシャル・タイムズ紙の一記事を踏まえて,「世界は今後の10年間に“超災害”に見舞われるかもしれない」と伝えている。国際赤十字・赤新月社連盟も,サイクロンや地震などの自然災害を例に挙げて,多くの人が被害を受けやすい状況にあると警告している。「世界で急速に拡大している50都市のうち,40は地震地帯にあるし,世界人口の半分は海水面の上昇による被害を受けかねない沿岸地域に住んでいる」と,同誌は述べている。もう一つの不穏な兆候として,災害が増加しているにもかかわらず,多くの国で政府の緊急援助資金が減少している。
「荘厳な闇」。ノルウェーの極地探検家フリチョフ・ナンセンは,「メールケティト」,つまりノルウェー北部で太陽が全く昇らない時期のことをこう描写した。2か月もの間,真昼の数時間に赤みがかった薄明が現われるだけである。しかし,だれもがこの暗い期間を歓迎するわけではない。イベンビューレナー・フォルクスツァイトゥング紙によると,北極圏に住むノルウェー人の21.2%は冬季うつ病に悩まされる。原因は,脳で作られるメラトニンというホルモンの欠乏にあるのかもしれない。唯一の治療薬は光である。とはいえ,オーロラのゆらめき,月明かりに輝く雪,村々にともる灯などに引かれて北極圏にやって来る観光客はしだいに増えている。
「華氏60度(摂氏約15度)の気温のもと,雑草が生い茂り,空き瓶の散らばる裏通り」に捨てられていた新生児が,迷い出たドイツシェパード犬のおかげで命を取り留めた,とデトロイト・フリープレス紙は伝えている。子供を発見した警察官の一人の話によると,犬は,「小枝にしがみ付いていた赤ちゃんを包み込むようにして赤ちゃんをぺろぺろなめていた」。この風変わりな光景が発見されたのは,出産による出血のひどい女性が病院に収容され,それを警察官が知ってからおよそ3時間後のことだった。赤ちゃんの姿がなく,その女性も妊娠を断固として否定したので,警官が女性のアパートに行って血痕をたどり,子供が捨てられていた裏通りを突き止めた。体重約2,800㌘のその男の赤ちゃんは,低体温症から回復し,小康状態に入ったとされている。
ソ連のチェルノブイリで起きた原発事故のために,ノルウェーとスウェーデンでは,少なくとも3万8,000頭のトナカイの屠殺が予定されている。この動物には1頭当たり約3万6,000円ないし4万8,000円の値打ちがあるが,汚染された地衣類を食べてから放射能のレベルが高まっているため,食用に適さない。「これは,北極の不毛地帯で60万頭以上のトナカイを飼っているラップ族にとって大きな痛手となる」と,ロンドンのサンデー・タイムズ紙は伝えている。匂いの強いその肉は北欧で人気があり,ドイツ連邦共和国や日本などにも輸出されている。「これでは我々の暮らし全体が脅かされる」と,トナカイの一飼育者は述べた。
放射能時計は何百万年という時を告げています。しかし,それはどれほど正確なものでしょうか。
「陥落穴で考古学的な多くの発見。1万年前の骨は,氷河期のフロリダ半島に人間が生存したことを物語る-科学者の見解」。
「大阪近郊で,日本最古の石器時代の家屋が発掘された。家屋は約2万2,000年前のものと考古学者は算定」。
「今から約100万年前,コロナ(カリフォルニア)東部に1本の川が流れており,その堤にはマスタドン・ラクダ・馬・ウサギなど,先史時代の動物が数多く生息していた」。
ここに挙げた最近の主張は,考古学者や古生物学者による発見を知らせる典型的な例です。新たな発見について人々がまず知りたいと思うのは,それがどれくらい古いものかということです。記者団に語る科学者たちは,その答えが証拠に基づいていようと単なる推測であろうと,必ずすかさずに答えを出します。
このような報告を読むと,どうしてそんなことが分かったのだろう,1万年前のフロリダ半島や2万2,000年前の日本に人間が住んでいたとか,百万年前のカリフォルニアの風景の中をマスタドンやラクダが歩きまわっていたというのはどれくらい確かなことなのだろう,という疑問が時々頭をかすめるのではないでしょうか。
古代の遺物の年代を測定するには数種類の異なった科学的な方法があります。比較的信頼性の高いものもありますが,どれも歴史的な記録に基づいて算定された年齢ほど確実ではありません。しかし,人間による歴史的な記録はせいぜい6,000年前にさかのぼるにすぎません。それよりも前のこととなると,科学的な年代測定法に頼るしかありません。
放射性年代測定法
種々の科学的測定法の中で最も信頼が置けるのは放射能時計です。この方法は放射性物質の崩壊率に依存しています。ほかの方法が,気温の変化など,環境的な条件が異なると速度が変わりうる老朽化の過程に依存しているのに対して,放射性物質の崩壊率は極端な外的条件にも左右されないものとされてきました。
ウラン・鉛時計
最初に考案された放射能時計,つまりウランが鉛に崩壊する現象に基づいた方法について説明しましょう。放射性物質の崩壊は統計的な確率の法則に厳密に従って進行してゆきます。一定時間内に崩壊してゆくウランの量は残される量に常に比例しています。ウランの半分が崩壊するのに必要な時間は半減期と呼ばれており,残された半分のまた半分は次の半減期に崩壊し,最初の量の4分の1が残されることになります。半減期が3回経過すると8分の1が残されるという具合いに順次進んでゆきます。ウランの半減期は45億年です。
ウランは鉛に壊変するので,鉛の量は絶えず増え続けてゆきます。ある一定期間に蓄積される量が点線で示されています。鉛の曲線とウランの曲線は対になっているので,鉛の原子とウランの原子の総量は常に一定しており,その数字は最初の数字に等しくなります。
では,ウランを含み鉛を含まない岩石があって,何も中に入れないよう,また外へ出ないようその岩石を密封したと仮定してください。しばらくしてその封を解き,その二つの元素の量を計ってみます。この方法によって,その岩石がどれほどの時間封をされていたかが分かります。例えば,鉛とウランの量が等しければ,半減期が一度だけ,つまり45億年経過したことが分かります。ウランの1%だけが鉛に崩壊していれば,曲線に関する数学的な公式を当てはめて,6,500万年が経過したと算定できます。
注目したいのは,最初に岩石の中にどれほどのウランが含まれていたかを知る必要はないということです。なぜなら,測定すべきなのは,その期間の終わりにおける鉛とウランの比率だけだからです。それに,実験の始まった時点に生きていて何かを測定できる人は一人もいなかったからです。
わたしたちが話題にしているのは幾百万年幾十億年という実に長大な期間だと読者はお考えかもしれません。こんなに進み方の遅い時計を何に用いることができるでしょうか。地球自体が数十億年前から存在してきたことをわたしたちは知っていますし,そのうちのかなりの期間存在してきたと思われる岩石も数か所に点在しています。そのため,地質学者は,そうした時計が地史の研究に極めて有用であることに気づいています。
どれほど確かなものか
わたしたちは年代測定の過程がここで述べたほど単純ではないことを認めなければなりません。最初の時点で岩石に鉛が含まれていてはならないことはすでに述べましたが,普通はそのようなことはありません。初めから多少の鉛が含まれています。そのため,岩石には,ゼロを超える幾ばくかの,ビルトイン・エイジ(すでに組み込まれている年齢)と呼ばれるものが含まれることになります。さらに,何の出入りもないように岩石中のウランを密封したと仮定しましたが,そうできる時があるとしても,常にそうできるわけではありません。長い時間がたつうちに,鉛やウランの一部は地下水に染み込むかもしれません。また,特に堆積岩の場合にはウランや鉛がさらに入り込んでくることもあります。このような理由で,ウラン・鉛時計は火成岩の測定に最も効果を発揮します。
鉱物中に含まれているかもしれないもう一つの元素,トリウムにも放射性があり,徐々に鉛に壊変してゆくことから,別の複雑な問題が生じます。それに加えて,ウランには,化学的性質は同じでも質量の異なる第二同位元素があって,崩壊率は異なるものの,やはり鉛を生成します。これらはいずれもそれぞれ異なった鉛の同位元素となるので,試験管を使う化学者だけでなく,種々の同位元素,つまり質量の異なる鉛を選別するための特殊な装置を用いる物理学者が必要となります。
これらの問題をさらに掘り下げなくとも,ウラン・鉛時計を用いて道理にかなった程度の信頼に値する答えを得ようとする地質学者たちは,幾つもの落とし穴に警戒しなければならないということが分かります。彼らは喜んで他の放射測定法を用い,自分たちの年齢測定の正しさを確証します。ほかにも,同じ岩石にしばしば用いられることのある二つの方法が開発されてきました。
カリウム・アルゴン時計
非常に広範に用いられてきたのはカリウム・アルゴン時計です。カリウムはウランよりも一般的な元素で,塩化カリウムは普通の塩の代用品として食料品店の店頭に置かれています。カリウムはおもに質量39と41の二つの同位元素からなっていますが,質量40の第三同位元素にはわずかに放射性があります。カリウムが崩壊してできる物質の一つは,大気中の約1%を占めている不活性の気体アルゴンです。質量40のカリウムの半減期は14億年で,数千万年から数十億年までの年代を測定するのに適しています。
ウランと比べてカリウムは地殻の広い範囲に見られます。火成岩・堆積岩の別を問わず,ごく普通の岩石に含まれる多くの鉱物の成分となっています。カリウム・アルゴン時計が効果を発揮するために求められる条件は先の説明と同じで,時計が時を刻み始める時点,つまり鉱物が形成された時点でカリウムとアルゴンが混じっていてはなりません。さらに,カリウムやアルゴンが漏れたり入ったりしないよう,その期間中ずっと鉱物を密閉したままにしておかなければなりません。
実際にこの時計はどれほどの効果を発揮するのでしょうか。非常に優れた効果を発揮する時もあり,さほどではない時もあります。この方法によって割り出した年齢がウラン・鉛時計による年齢と大きく異なっていることもあるのです。普通はこちらのほうが数値が小さくなります。アルゴンが失われたためにそうなるのです。しかし,ほかの岩石の場合,カリウムによる年齢とウランによる年齢は非常に近似しています。
カリウム・アルゴン時計を用いたことが非常に大きく報道されたのは,アポロ15号の宇宙飛行士が月から持ち帰った石の年代を測定した時です。この石の断片を取り,科学者たちはカリウムとアルゴンの量を測定し,石の年齢を33億年と決定しました。
ルビジウム・ストロンチウム時計
より最近になって,鉱物の放射能時計がもう一つ開発されました。それは,ルビジウムがストロンチウムに崩壊する現象に基づいています。ルビジウムの崩壊速度は信じ難いほど遅く,半減期は500億年です。したがって,最も古い岩石の場合でさえ,崩壊はほとんど進んでおらず,最初から存在するストロンチウムと,後に生成されたストロンチウム87とを区別するには測定に細心の注意を払わなければなりません。その鉱物にはルビジウムの百倍のストロンチウムが含まれているかもしれず,10億年たっても,崩壊するルビジウムは1%にすぎません。こうした難問にもかかわらず,崩壊によって生成されたストロンチウムの量が細かく算出された例も幾つかあります。この時計は他の方法を用いて割り出された年齢を確かめるのに有益です。
この方法が用いられた例で興奮を誘ったのは,ある隕石の場合です。天文学者たちはこの石を,理論上はどこからか一緒に落ちてきて太陽系の諸惑星になったとみなされる岩塊のような,太陽系生成の元となった物質の残存物ではないかと考えています。算出された46億年という年齢はこの見解と一致しています。
ルビジウム・ストロンチウム時計が効を奏した顕著な例は,前述の月の石の年代測定でした。石の中の異なった五つの鉱物が分析され,カリウム・アルゴン法による年齢と同じ33億年という年齢が算定されました。
ある場合には,これら三つの地質学的な時計を用いて得られる相対的な年齢はほぼ一致し,そのような場合の年齢は正しそうだとの確信を与えてくれます。しかし,強調しておかなければならないのは,どんな点で一致できるかは示されていますが,それは理想的な条件下での話にすぎないということです。付け加えて言えば,その条件は一般に理想的ではありません。互いに矛盾する点を比較しながら挙げてゆけば,はるかに長い表ができあがります。
古生物学者は化石の年代測定を試みる
古生物学者は,わずか数百万年前の岩石の年代測定に成功を収めた地質学者にあやかろうとしました。古生物学者の扱う化石は一部そのあたりの時代のものかもしれない,と彼らは考えます。ところが残念なことに,カリウム・アルゴン時計はそれほど彼らの役に立ちません。もちろん化石は堆積岩からのみ発見されるもので,火成岩の中からは発見されませんし,堆積物に関しては,放射測定法を用いたこれらの年代測定はおおむね信頼できません。
そのことを例証するのは,分厚く積もった火山灰の中に化石が埋没し,その灰がのちに固まって凝灰岩になった場合です。それは実際には堆積岩ですが,空中で固体化した噴出物からできています。その年代を算定できれば,その中に閉じ込められた化石の年齢を割り出すのに役立つでしょう。
タンザニアのオルドゥバイ・ジョージの場合がまさにそうでした。猿に似た動物の化石が非常な注目を集めましたが,それは発見者がその化石と人間との関連を主張したためです。化石が発見された凝灰岩のアルゴンを測定したところ,最初は175万年という年齢が算出されました。ところが後日,別の正式な研究所で測定したところ,50万年少ない数値が出たのです。その上下にある凝灰岩の層の年齢が一貫していないことが判明し,進化論者たちを大いに落胆させました。上の層には下の層よりもアルゴンが多く含まれていることがありました。しかし,地質学的に言うと,これはあり得べからざることです。上の層は当然下の層よりも後に堆積したので,アルゴンの量は少ないはずです。
結論から言えば,"相続したアルゴン"が測定を妨げています。以前に形成されたアルゴンがすべて溶岩から放出されたわけではありません。この時計の場合,針はゼロにセットされていないのです。岩石が噴火口で溶解した際,以前にカリウムから生成されたアルゴンが1,000分の1でも中に残っていれば,この時計は約100万年というビルトイン・エイジをもって始まることになります。ある専門家が述べている通りです。「ある年代は間違っているに違いない。そして,あるものが間違っているとしたら,すべてが間違っているのかもしれない」。
これらの年代は全く無意味なものかもしれないという専門家の意見にもかかわらず,オルドゥバイの化石に関する175万年という当初の年齢は,進化論に傾倒する人気雑誌の中に今なお引用されています。平信徒とも言うべき読者に対して,それらの年齢が実際には推測にすぎないという警告は与えられていないのです。
比較的少量ではあっても放射線や有毒化学物質や殺虫剤にさらされると健康に危険な影響が及ぶ可能性について,一般の関心が高まっている。そのため科学界は,“安全基準”をもっと正確に定める方法を見いだそうと努めてきた。今まで,人体への危険度の評価は,研究室での動物実験に基づいて推定されていた。それは,遺伝子に損傷を与え得る物質が大量に存在する所に動物をさらしておく実験である。インタナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は,より正確な新技術が開発されたと伝えているが,それによると,かつては安全と考えられていたものも,遺伝子にかなりの損傷を与え得ることが明らかになった。遺伝子に損傷を与える物質にさらされた人々の間で,白血球のある種の突然変異体がかなり頻繁に発見されている。興味深いことに,喫煙者は非喫煙者に比べ,ある特定の遺伝子に損傷を受ける頻度が50%高いことも判明した。
この世界を窒息させる恐れがあるのは,家庭から出るゴミの山だけではありません。それよりもずっと大きな,はるかに危険な廃棄物の問題があるのです。それに比べれば,家庭の出すゴミの問題は物の数ではなくなります。人間が核兵器や発電のために原子を利用することを学んで以来,科学者たちはそのシステムから生じる放射性の高い核廃棄物を処理するのにできるかぎり安全な方法を模索しています。
後の世代がこの危険な廃棄物に汚染されないよう人々と環境を守る方法を見いだすために膨大な額の資金が投入されてきました。放射性廃棄物は生物すべてに何千年間も致命的な影響を及ぼしかねないので,確かにこれはとてつもなく大きな仕事です。
この種の廃棄物の多くは何十年にもわたって,現場に掘った穴とか,地表水や地下水がゆっくり出入りする窪地に簡単に投棄されていました。危険物質は希釈されて害はなくなると信じられていたのです。しかしその憶測は,あとで取り上げますが,災厄的な影響を及ぼすものであることが分かりました。高レベルの放射性廃棄物は,地下の巨大なタンクの中に貯蔵されているものが何千万リットルもあり,そのほかに,樽に密閉されて地上に保管されているものもあります。この処理法も危険であることが分かっています。
この核廃棄物は非常に危険で命取りの代物であるため,科学者たちはこれを外界宇宙へ打ち上げることから,極地の氷山の下に置くことまで,あらゆる手段を考慮しました。今のところは,廃棄物のドラム缶を太平洋北部に沈めることができるかどうかについて調査を行なっています。そこは廃棄物が海底の泥の中に30㍍ほど沈むことが期待されている場所です。ウッズホール海洋学研究所の副所長は,「我々はこの地球上に,陸上か水中か海底かのいずれかに処分せざるを得ない代物を持っている。我々が持っているものと言えば,それだけだ」と言いました。
現在のところ,この放射性物質のほとんどは,より安全で恒久的な処理法が見いだされるまでの一時しのぎの対策として,密閉された建物の内側に設けられた,水を満たしたプールの中に貯蔵されています。例えば,カナダのオンタリオ州には16基の原子炉がありますが,すでに7,000㌧余りの放射性廃棄物がそのような容器に貯蔵されています。英国も自国の出す廃棄物をどうするかという厄介な問題に直面しています。現在,放射性の高い廃棄物は地上の幾つかの場所に貯蔵されています。この方針は,漏洩しない場所が地下に見いだされ,それがテストされるまで変わらないものと考えられています。フランス,ドイツ,日本なども,自国の核廃棄物の処理問題と取り組もうとしています。
ニューヨーク・タイムズ紙はこう伝えています。「『深い地質学上の貯蔵所』,つまり乾燥していて変動のない,荒涼とした場所に埋めるのが最も安全な方法である,というのが米国の公式の方針である。しかし,そういう場所を見つけるのは並大抵のことではない」。確かにそうです。科学者たちによれば,それはその物質を1万年間安全にしまっておけるような,変動のない乾燥した場所でなければならないのです。この核廃棄物の中には,およそ25万年間は致死的な影響がなくならない物もありますが,1万年の間には非常に多くの地質学上の変化が生じるので「それ以上長い期間を見越した計画は無意味である」と,専門家たちは考えています。ある著名な放射線専門家は,「私はこの地表に,たった1,000年先までの計画をさえうんぬんできるようなモデル用地など知らない」と述べ,「1万年先の健康上の危険をうんぬんすることは困難だ」と付け加えました。
大変災!
科学者たちは原子の秘密を解明した時,自分たちが対処する備えのできていない,まだ知らない新しい現象を解き放ちました。つまりその後に続く,死をもたらす汚染の悪夢です。政府当局は,危険が潜んでいることを警告されても,故意にその警告を無視しました。核兵器を作る能力と物質を持った国々では,核兵器の製造が最優先されるようになると,人々の健康,命,それに環境の質に対する配慮は放棄されました。危険な廃棄物を閉じ込めておく方法はずさんなものでした。例えば,ある核兵器工場は,「マンハッタン区全体が約12㍍浸水するほどの量である7,500億㍑余りの有害な廃棄物を,裏打ちのされていない穴や沼に流し込んだ」と,US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌の1989年3月号は伝えており,「有毒な透過液は,少なくとも260平方㌔の範囲の地下水を汚染している。地下の巨大なタンクにはおよそ1億7,000万㍑の高レベル放射性廃棄物が貯蔵されており,それらの容器から漏れ出ているプルトニウムは,長崎に投下された規模の原子爆弾を50個以上製造できるほどの量である」と述べています。この場所を大掃除するには,推定9兆7,500億円もの費用がかかります。
核廃棄物を入れておくために造られた多くの一時的保存用タンクの中には,放射線によって高熱を帯びたためにひびが入っているものもあります。すでに200万㍑の放射性廃棄物が地中に漏れたと推定されています。飲料水は放射性ストロンチウム90で汚染されており,その濃度は飲料水のために米国環境保護局が定めている許容量の1,000倍に達しています。また別の核兵器工場では,「4,200万㍑のウラニウムを保存している廃棄物坑から放射性物質が……漏れて帯水層に浸透し,同施設の800㍍南にある井戸の水を汚染している」と,ニューヨーク・タイムズ紙は報じています。また同紙によると,ワシントン州では何十億リットルという汚染された水が地中に排出されており,放射性トリチウムを含んだ水が間断なくコロンビア川に流れ込んでいます。
米国アイダホ州では放射性廃棄物管理コンビナートの浅い廃棄物坑から微量のプルトニウムが漏れた,とニューヨーク・タイムズ紙は伝えました。「プルトニウムは幾つもの岩石層を透過して,アイダホ州南部の幾千人もの住民に水を供給する地下の広大な貯水場へ向かっている」のです。致死的影響をもたらす成分が,帯水層までの距離のほぼ半分,つまり地下約70㍍の所まで浸透している,と同紙は述べています。
河川に流れ込んだり,大気中に吐き出されたりした,このプルトニウムの廃棄物はどれほど危険なのでしょうか。ニューヨーク・タイムズ紙はこう報じています。「プルトニウムの放射能は25万年間持続する。ごく微小な粒子でも人が吸い込んだり呑み込んだりすれば,致命的な結果になりかねない」。また,ニューズウィーク誌は,「プルトニウムの微小片を吸い込んだだけでも癌が発生することがある」と述べています。
人々に対する核廃棄物の即時および長期の影響については知られていません。それが知られることはないのかもしれません。しかし,一つの核工場において,その工場から数キロと離れていない地域に住む人々の間に162人もの癌患者が出ているということだけで十分でしょう。人々は怖くて水を飲むこともできず,不安は募るばかりです。ある大学の医師で核工場労働者のコンサルタントをしているある人はこう述べています。「従業員の間には癌にかかる人の数が他の職場よりも6人ないし200人ほど多くなる。従業員はみなおびえており,自分たちの環境や生活はもうどうすることもできないという気持ちになっている」。
実際,そうなっています。何世紀も前に,エホバのある忠実な預言者はこう述べました。「エホバよ,地の人の道はその人に属していないことをわたしはよく知っています。自分の歩みを導くことさえ,歩んでいるその人に属しているのではありません」。(エレミヤ 10:23)確かに,この言葉が真実であることは歴史が証明しています。この終わりの時代にはそれが劇的に証明されています。増大するゴミ危機は,人間が自分の歩みを賢明な仕方で導くことに失敗した多くの事例の一つにすぎません。
それでも,失望するには及びません。聖書の預言がはっきり示すところによると,間もなくこの事物の体制は創造者によって除かれ,新しい世が始まります。創造者は人間が地球に対して,またご自身に対して行なっている事柄をこれ以上忍ぶことはされず,「地を破滅させている者たちを破滅に至らせ」られます。(啓示 11:18)その後,人類は創造者の指導のもとに,地球の正しい管理法やその資源の賢明な利用法を学ぶことでしょう。―詩編 37:34。ペテロ第二 3:10‐13。

核廃棄物の致死的影響力は25万年間持続する。

「プルトニウムの微小片を吸い込んだだけでも癌が発生することがある」
◆ 砒素の4億8,600万倍の毒性を有し,指ぬき1杯分で人類を絶滅できるほど危険なものとは何だろうか。パレード誌によると,それはプルトニウムである。このプルトニウムは原子爆弾や原子炉で使用されている放射性元素である。天然には,プルトニウムはウラニウム鉱石中にごく微量見いだされるに過ぎない。ところが,世界各地の増殖炉でばく大な量のプルトニウムが生産されている。現時点で1,800㌔のプルトニウムが紛失もしくは計算上足りない事実を知るなら,浮ついた気持ちなど吹き飛んでしまう。