「クソ坊主め、地獄に堕ちろ。」
私は、襲撃が失敗し、休憩室で荒れ狂っていた。
高僧なら私の背後に、不動明王の迦楼羅の火焔が
見えたであろう。
命だけは助けてやろうと思ったが、あのエロ坊主、
延髄を突いて本当に殺したくなった。
キンキンに冷えたビールでも飲みたい気分だったが、
今朝までは勤務中だから我慢するしかない。
自動販売機で買ってきた缶のアイスコーヒーを一気飲みし、
片手でグシャリと握りつぶした。
私、こう見えても握力は70kgあるんで、リンゴを簡単に
握りつぶすこともできる。
左右、親指と人差し指二本で腕立て伏せなんか楽勝。
人前ではやらないが、瓶ビールの栓も、栓抜きなんか使わず、
親指で開けることができる。
今、腹筋女子がSNSなんかで話題になっているが、
ちゃんちゃら可笑しい。
私の腹筋はずっと前から六つにキレイに割れている。
時代がやっと、私に追いついたといえるかも。
しかも、私の場合、只見栄えが良いだけではない。
ジムではなく、道場の稽古で鍛え上げてきた
闘うための、敵を倒すための筋肉である。
私は、狙いを定めて、3m離れたゴミ箱に、潰れた空き缶を
投げ込んだ。
ナイスシュート、ゴミ箱は反撃しない、楽勝だ。
少し、気持ちが落ち着いた私は、次の復讐の手段を
練ることにした。
私の襲撃が失敗したのは偶然かどうかも気になるが、
このまま、無事に生還させてなるものか。