通販でお取り寄せの折り畳み傘が届いた。

東京に住む弟の長女の結婚披露宴の引き出物だ。

たくさんの種類のカタログの中から息子がチョイスした。

 

心の訓練所から1時間かけて歩いて帰宅するので、

途中雨が降っても困らないようにと本人が選んだ。

 

先だっては路線バスとモノレールの乗り方を二人で体験した。

これで車の送迎がなくても心の訓練所に通えるはずだ。

 

梅雨入りの前に折りたたみ傘が手に入って良かった。

 

傘には不思議な思い出がある。

仕事で宮崎県に行ったときのこと。

雨の中、

ホテルから仕事場までタクシーで行った。

帰りも雨の中タクシーでホテルに戻った。

 

そして数時間後、

同じ仕事場に向かおうとすると雨がまだ降っていた。

その時、傘をどこかに忘れたことに気づいた。

 

流しのタクシーを拾って、

車中で同僚に傘をどこかに忘れた話をした。

すると運転手さんが、

「もしかしてこれですか」

と助手席から傘を取り出して見せてくれた。

それは何と私の傘だった。

妻がイギリスで土産に買った、

タータンチェックの折り畳み傘。

 

運転手さんの話によると。

運転手席後ろの座席のドア付近で、

子ども連れのお客さんのお子さんが見つけたそうだ。

 

その席は、

職場からホテルに戻るとき乗ったタクシーの私が座った場所だった。

 

タクシーはホテルに待機していたわけじゃなく流しのタクシー。

降りて数時間後にまた同じタクシーに乗って、

忘れた傘を見つけるなんてまさにミラクルだ。

 

息子の傘を見ながら、

昔のことが鮮やかによみがえった。