介護上の衝突で妻は私を鬼呼ばわりする。

足の振戦(震え)とともに耐え難い痛みが襲う時だ。

 

夜中に、

「寝返り、寝返り」

「水、水」

か細い声ではあるが連呼するものだから、

側で寝ている私はたたき起こされる。

 

もう少し、あと1時間寝かせてとお願いするも、

向こうも必死だから待ったなしだ。

そんなとき私はかんしゃくを起こすことがある。

死ね!

と言いたいのはぐっとこらえて、

俺は奴隷か! 召使か! などと口走ってしまう。

「そうだよ」

売り言葉に買い言葉から妻はそう言葉を返す。

 

寝返りは仰向け状態で足を曲げて右に左に体を回転させる。

自力ではできないものだから、

手助けが必要なのだ。

 

そして、

「トイレ!」

 

車いすで連れて行って、

時には下着の上げ下ろしを手伝う。

 

これが毎晩続く。

 

妻の寝ている時間は長くて3時間だ。

 

身体の痛みで目が覚めるものだから、

「足、足!」と短い言葉で寝たままで足の屈伸運動を要求する。

 

パーキンソン病は、

患者一人一人病態が違うようだ。

振戦が手に出る人もいる。

妻は足に出る。

出ると歩けなくなる。

激しい痛みも伴う。

 

薬が効いているときは普通人に戻る。

痛みも和らぐようだ。

 

早く病から解放されたいものだ。