飛ばないバットが話題になっているのを知らなかった。
「新基準バット1号」
スポニチアネックス3月20日配信記事の見出しだ。
新基準とはこの春から採用された低反発金属バットのことだった。
今までのバットは打球速度が速すぎることが問題になったようだ。
導入の目的は投手の怪我防止、打高投低の傾向の調整、投手の負担軽減だそうだ。
三つの内の前二つは理解できるが、投手の負担軽減とはどういうことか。
スポジョバというサイトで詳しく解説していた。
≪投手の疲労軽減のために「1週間500球以内の投球数制限」に加えて、バットの見直しがされました。
投手の負担軽減を目指す上で、金属性バットの反発性能を抑制する必要性を求める声が上がり、打球速度を抑えることで投手の負担を軽減する狙いがあります。
現在の金属バットは芯が広く飛距離が出やすいので、投手は変化球を織り交ぜて球数が多くなってしまいます。つまり、以前よりも投手不利な状況が作り出されなくなるので、球数も抑えられるというわけです。≫
なるほどね。
ところで飛ばないバットは反発力が木製バットに近いそうだ。
センバツ甲子園大会1回戦で青森山田の3番打者は木製バットを使ってサヨナラ勝ちにつながる3塁打を含む2安打を放った。
低反発バットを意識したわけではなく、高いレベルで野球をやりたいから金属より木製を使おうと思ったという。
確かに大学も社会人もプロも木製バットを使っている。高校時代に金属バットに慣れてしまうと、木製になじむのに苦労する選手もいると聞く。
金属バットを使わなければそんな苦労はしなくて済む。高校生でそこまで考えが及ぶなんて大したものだ。
私が高校時代は木製だった。翌春から金属バットに移行するということで学校は木製バットの購入を控えていた。
木製は折れる。わが校の野球部の面々も御多聞に漏れず、バットを折る選手が多かった。試合中にではない、練習中に、だ。だから保有するバットは1本ずつ使用不能になり試合前1週間で全部なくなった。
最後は素振り用の、チーム間でマスコットバットと呼んでいた重いバットまで私がへし折ってしまった。
試合にはどうしたかというと、わが校の近隣にあった休部中の商業高校に行って貸してもらった。
今回の使用バットの変更で疑問に思うのは、どうして変更するのかってこと。変更は数年前から方針が決まって各校ともそれに向けて準備していくが、移行期にいる選手にとっては負担以外の何物でもない。
反発力が木製バットと同じなら、高校野球卒業後の進路を考えて木製バットを使う選手は今後、増えると思う。学校にとっては折れる木製バットを何本も買うより、低反発金属バットを2、3本買う方が金銭的負担はないかもしれない。
だけど金銭面優先より、選手ファーストでやってほしいものだ。木製から金属への移行期を経験した元球児としては切に思う。