お腹の赤ちゃんが亡くなったことは
両親、義両親、職場の上司、
支えてくれた一人の親友にすぐ報告した。
自分でも驚くほど落ち着いて話すことができた。
それは巨大膀胱だと分かった日から、
『いつかこんな日が来るかもしれない』と覚悟していたからだと思っていた。
でも本当は産声の無い出産がどれほど辛いものか、
この時はまだちゃんと分かっていなかったからかもしれない。
看護師さんから教わった通りに
葬儀屋さんにお棺、骨壷、ドライアイスの予約をした。
赤ちゃんに着せてあげるセレモニードレスと肌着を夫と探しに行った。
もちろん15週の赤ちゃんの大きさに合う服なんて一つも売っていなかったけれど、
1番肌触りの良さそうなものを選んだ。
赤ちゃんがひとりで寂しくないように
小さなぬいぐるみも探した。
一緒にお空を飛んでくれるお友達のカービィとワドルディ。
夫と私、それぞれ赤ちゃんにお手紙も書いた。
そして、赤ちゃんの名前も決めた。
決めたというより、ふと思い付いた。
巨大膀胱の胎児異常を待つ多くは男の子らしい。
少しの間だったけど、同じ時を生きてくれたことへのありがとうの気持ちをこめて。
いつか時を越えて、この子が元気に幸せに生きれる日が来ることを祈って。
時生くんと名付けた。