「終電までいる?打つ?」屈託のない笑顔でMさん(仮名)が待ち席の僕に話しかける。

同卓しようと言うのだ。

これはこの上ない。

理由を尋ねる。

「今日は役満振り込んだから悔しくて」と。

続けて「ここの人、みんな強いよね、どうしたら強くなれるんだろう」と口にした。

 

「Mさんは充分強いよ」

「え?」

「だって誰と打っても(態度や姿勢が)変わらないじゃないですか、それってすごいことですよ」

 

余計なことだけど、Mさんが持ってる本来の強さを伝えた。

 

トップを取ることは数値的に強いし魅力的だ。

でもそれは自身の選択とか読みが間違っていないとか、好配牌に恵まれたとか状態が良かったに過ぎない。

言ってしまえば卓と同卓者に勝たせてもらったのではないだろうか、と思うようにしている。

 

本当の強さとは負けた時に出るそいつの弱さとの向き合い方なのだ。

 

誰とでも変わらず、癖の強いおっちゃんやおばちゃんにも打ち方を合わせる、そういう打ち手は強いと思う。