菌との共生 | ⋆

◆昔ながらの日本酒作りをするようになった寺田啓佐氏



日本の風土の中で菌を食べ、菌といっしょに仲良く暮らしてきた日本人。

昔から醗酵の持つ素晴らしさに不思議さに魅せられていたのだろう。


微生物が生命をかけて化学変化を起こし、その生命もいっぱい詰っている醗酵。

醗酵にはたくさんの色々な菌がかかわる方がいいようだ。


有用菌(人間の都合でそう呼んでいる)だけより、雑菌も大切な役割をする。

お腹の中でも有害物質をも作るという大腸菌。

仮にもしもいなくなったとしたら、有用菌は働かなくなってしまうという。


抗菌グッズで身を守る事より自然の中でたくさんの菌と触れ合う事で醗酵し、

免疫を高め、元気になっていく。人間もさまざまな菌に助けられ支えられながら生かされている。


お酒だってそうだ。雑菌が関与しながら醗酵するほうが

コクのある深い味わいのあるおいしい御酒(おみき)が醸し出される。

それこそ百薬の長にもなる。


『都合の悪い菌だけ排除する事ではうまくいかなくなる。仲良くする事でうまくいくようになっている。』

またひとつ、微生物から大切な事を教えられた。


http://www.teradahonke.co.jp/index.htm


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◆福岡博史 『歯と全身をつなぐオーラル・エコロジーと歯科統合医療のすべて』 より抜粋



  余談ですが、よく噛む方の肩があがるそうです。

  筋肉の疲労をかばうため、なんですって。筋ももちつもたれつ。菌にも全てにいえます↓



歯をみがくことで、口腔細菌を一掃することなど、とても出来ません。

同時に、一掃する必要もないのです。


細菌は口腔内(人体)にとって、有益なもの・有害なもの・無害なものなど

さまざまなタイプがあるからです。


また多くの菌が存在することで、互いに牽制しあって、互いの繁殖を阻止することもあれば

互いの影響で繁殖しあうこと(共生)もあります。


これこそがひとつの生態系といわれる所以です。


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◆山口創 『皮膚という脳』 より抜粋



しっとりとしたつややかで健康な皮膚に棲みついている主な菌は、

表皮ブドウ球菌やアクネ菌といった善玉菌である。


ブドウ球菌というと、真っ先に思い出すのが、食中毒や肺炎の原因になる黄色ブドウ球菌だろう。

黄色ブドウ球菌は確かに病原性がある。


しかし、皮膚に限っていえば、表皮ブドウ球菌は通常

感染を起こさず、宿主である人間と無害な共生関係を保っている。


これら善玉菌は、皮膚の脂質を栄養源として微生物叢(ミクロフローラ)を形成し、

皮脂膜の機能である保湿や紫外線、微生物に対するバリア機能を高めてくれる。


食用油を長く放置すると嫌なにおいがしたり、

日のあたる場所においてあったインスタントラーメンを食べると腹痛を起こしたりするだろう。


それは、食べ物の中の脂が空気によって酸化され、劣化するからである。

この脂が活性酸素によって酸化されると、過酸化脂質が生成されてしまう。


そして、体の中でもっともか過酸化脂質が作られやすいのは皮膚である。

皮膚から分泌している皮脂は空気と接しているため、酸化されやすい。


すると、がんや炎症を生じやすくなり、

また加齢とともにシミのような老化色素が皮膚に沈着されてゆく。


しかし表皮ブドウ球菌は、皮脂の過酸化によって生じる活性酸素を分解し、その毒性を弱めてくれる。


それだけではない。これによって作られた脂肪酸は、別の細菌に利用され、

その産出物をまた別の細菌が利用する、といったように、

皮脂や汗は一種の食物連鎖のように、徹底的に利用される。


このように、皮膚は一種の生態系として完結しており、

多種多様の細菌によるバランスが保たれているのだ。(中略)


人体は細菌の宝庫である。

外界は実にさまざまな細菌に満ちている。

そのため、人間が外界と接する部位には、無数の殺菌が付着するのが当然だろう。


人類をはじめとする多くの生物は、その部位に自分にとって役に立つ細菌を棲まわせて

他の病原菌から守ってもらうという戦略で、細菌に満ちた世界で生き残ることに成功したのである。


このような関係を「共生」と呼んでいる。それは、皮膚にとどまらない。


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ということで…データやらいろいろで、おもしろい本たちでした。

ふぃー。


みんな、役割があって存在している。

そして、つながっている素晴らしい世界です。


It's a beautiful day~♪