朝から仕事しながら立て続けに3本映画を見た。

実際に起きた事件を基に作られた作品。
これよかったな。
登場人物それぞれが闇を抱えていて、大人なら誰でもすべて理解できる感情が描かれていた。
絶望としか思えないことばかり見えていても、なんとなく希望もあるような、でもその希望すら危ういような、そんな感じ。
ストーリーが進めば進むほど、「人間ってやっぱりどこまでいっても結局は孤独なんだ」と思わされた。
じっさい声に出して表すじぶんの思考の裏にある本音と闘うシーンは特によかった。
そうだよね、そうなんだよね、と頷きながら見た。
他人からは見えない葛藤が確かにあって、向き合いつづけている様子が描かれているのもリアルでよかった。
欲をいえば、事件の犯人が犯行に及ぶまでの心の動きというか、背景みたいなものがもっと描かれていたらもっとよかった。
そんなことして「だったらしょうがないか」と思われることは望んでないだろうし、要らないといえば要らないんだろうけど。
でも、どんな人間にもそうなった理由はきっとあるはずで、同情したいわけじゃないけど理解はしたいなと思ったのだった。
じっさいの事件なんだから調べたらある程度のことは知れるか。

「女には二種類ある。母と娘だ」みたいな台詞が印象に残った。
この中で母はひとりしかいないように思えたけど、どうなんだろ。
思いやりとか愛情って、履き違えると周りを傷つける。
じぶんの尺度を無自覚に他人に押し付けるのって、ほんとうに怖いことだ。
愛情ってなんなんだろう。
無償の愛ってよく言うけど、本質的にそれが存在するかはよくわからない。
結局はじぶんを守るためのものなんじゃないかとも思ったりする。

誰かの視点で物事を見て得た思考が、別の誰かの視点で見るとまったく別のものになる。
描き方が上手いなぁと思った。
みんなじぶんが悪になりたくないから、じぶんの視点で語るときはどうしたってある程度の嘘をつく。
その嘘のせいで誰かが悪人に仕立て上げられて、取り返しのつかないところまでいってしまったりもする。
『月』の中にも「心がなければ生きる意味も価値もない」みたいな台詞があったけど、心って他人からは見えないし、他人が何を思って感じたかなんて、想像することしかできない。
確認したところでまた嘘をつかれるかもしれないし。
みんなそれぞれの善を拠り所にして生きてる。
だいたいのひとはそれで他人が傷ついたとしても、それは相手の責任にする。
それはそう。
じぶんの課題はじぶんのものでしかなくて、他人の課題もまた他人のものでしかない。
みんな誰かを傷つけて、誰かに傷つけられて生きてる。
何を思って感じたかはそのひとにしかわからない。
「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。誰にでも手に入るものを幸せって言うの」
ある視点で描かれたときは、ひととしての感情のない最低の人間に見えていた人物が、物語の終盤に言う台詞。
このひともまた、ひとを傷つけてひとに傷つけられながら何かを考えて感じて生きてきたんだろう。
なんだか意図せず重たいテーマのものばっかり見ちゃったけど、ほどほどに感情が動かされて見てよかったと思えた。
ほんとうは、何も考えずのほほんと見られるものを探してたんだけど。
次は何を見ようか。
ていうか、仕事しながら見るなよって話なんだけど、今回の案件はたまにしか気合いを入れるタイミングがないのでこのくらいがちょうどいい。
なんだかんだあと20ページくらいで終わるとこまで進んだし。
今度こそ何も考えなくていい映画にしよう。
あ、その前に晩ごはん作らないと。
今日は楽しい日ですか。
じぶんが生きてる意味なんて、生きてるうちはわからないかもしれない。
いつ死んだって、今が楽しければそれでいいんじゃないか。
それもわたしの言葉として表れているだけであって、本音かどうかはわたしにしかわからないことだけど。