変だ。

家のどこにも猫がいないこの感じが。

人生史上最強に違和感がある。

わたしがトイレから出ても出待ちしてないし、お風呂に行ってもついてこない。

注射の時間になっても居間に来ないし、シンクで洗い物してても横から水を飲みに来ない。

そういうふとした瞬間瞬間に目に涙が溢れて困るなぁと思いながら、キッチンの床を拭く母に目をやると、彼女もまた泣いていた。

何をしててもいつも周りをうろちょする猫がいなくて泣けてくるとのこと。

わかるよわかる、わたしも同じだよ。

慣れるまでしばらくは泣くしかないね。

と声をかけた。


17年もいっしょにいたんだ。

急にいなくなったら寂しいに決まってる。


しかし夕飯の最中もふいに込み上げている母を見て、あまりにこの状態が長く続いてまたうつになったら大変だとハッとなって、これからは本気で彼女をケアしていかないといけないと強く思った。


暗いニュースや重い内容の本なんかにすら影響を受けすぎて落ち込む傾向がある彼女。

それよりよっぽど強い衝撃が今襲っている最中なわけで。


まじで危ない。

わたしは部屋でひとり泣いてる場合ではない。

今日からまた違う試練が始まってしまった。



というか、昨日の夜中に書いたものがアメ○ピとやらに取り上げられてしまったらしく、アクセス数が恐ろしいことになってた。

そういうの本気でいらない。

誰が見てもいいと思ってるからここに書いてるのはもちろんなんだけど、矛盾してるのはわかってるんだけど、そういうんじゃないんだ。


ただ、今日この日にうちのかわいい猫が一瞬でも多くのひとの目に留まったということだけは悪いもんじゃないかもとは思った。

でも、ちょっと落ち着くまでは下書きに戻しとくことにした。


さっきSNSをぼんやり眺めていたら、同じようなタイミングで愛猫を亡くしたひとのポストが流れてきて、同じ思いをしてるひとがいるんだと思って、不謹慎ながら少し安堵した。

わたしと母が霊園を出ようとしたときにも、ちょうど入れ違いで駐車場に入ってきた車がいて、そうだよね、こういうものだよな、と思うなど。


今はしんどいばっかりだけど、世界中にありふれてる出来事のひとつでしかない当たり前のことが起きただけだと、そのうちちゃんと涙なしで受け止められるときが来る。ぜったい。

それまでの辛抱だ。

とにかくこれからは猫のかわりに母の精神を守らねば。


しかし夜のこの感じは本気でエグい。

慣れる日なんてほんとに来るのかな。


もう昨日から泣きすぎて目も頭も痛すぎる。

そろそろ冷静になりたいんだけど、どうしても頭が言うことを聞いてくれない。


また耐えられなくなったらここで吐き出そう。