ザ・ロック
※ネタバレです。
原題 The Rock
製作年 1996年
製作国 アメリカ
上映時間 135分
監督 マイケル・ベイ
脚本・原案 デビッド・ワイズバーグ、ダグラス・S・クック
製作 ジェリー・ブラッカイマー、ドン・シンプソン
製作総指揮 ウィリアム・スチュアート、ショーン・コネリー 他
音楽 ハンス・ジマー
出演 ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリス、デヴッド・モース、マイケル・ビーン、ウィリアム・フォーサイス、ジョン・スペンサー 他
あらすじ
アメリカ海軍施設から15基の毒ガスミサイルが強奪された。犯人はアメリカ軍のハメル准将率いる海兵隊グループだった。ハメルらは、今では観光地となったアルカトラズ刑務所に、人質81名を取り立て籠る。ハメルは、かつて非合法作戦に従事し見捨てられた部下の遺族への補償金や勲章の授与、身代金1億ドルを要求する。
FBI長官ウォーマックは事態解決のため、化学兵器の専門家スタンリー・グッドスピードと、元英国特殊諜報員であり、かつてアルカトラズ(ロック)から脱獄し、刑務所の内部に詳しいジョン・メイソンを特殊部隊SEALsに同行させ、彼らはロックへの侵入を試みるが...
「破壊王」
このフレーズを聞いて僕が思い出すのは、プロレスラーの故・橋本真也選手と、本作の監督を務めるマイケル・ベイです。
今でこそある程度冷静に鑑賞できるようになったマイケル・ベイ監督作ですが、少年時代の僕にとって、特にこの「ザ・ロック」は同監督作の中でも最も好きな作品でした。
まあ今観ると言いたいことはいっぱいあるんですよ。
とりあえず話の続きをざっくり書いておくと、アルカトラズ(ロック)に潜入した一行でしたが、海兵隊の待ち伏せに会い部隊は全滅。味方はグッドスピードとメイソンの2人だけに。
2人は海兵隊の追撃を受けながらもミサイルを無力化していきますが、残りわずかというところで捕まってしまいます。メイソンの脱獄術で何とか檻を抜け出した2人でしたが、ミサイル1発が発射。
最初から本気で街にミサイルを撃ち込む気はなかったハメルはミサイルのコースを変更し、ミサイルは海に落下。もともと金目当てだったフライ大尉とダロウ大尉が反乱を起こし、ハメルや部下たちは死亡。ハメルは死に際にグッドスピードに最後のミサイルの場所を教え力尽きます。
グッドスピードはメイソンの援護を受けながら、ダロウをミサイルごと吹き飛ばし、フライは毒ガス入りのカプセルを口に放り込んで倒し、任務完了の発煙筒をあげます。
すでに決定していたアルカトラズへのミサイル攻撃によりグッドスピードは爆風で海に吹き飛ばされますが、メイソンに救助されて何とか生還。グッドスピードは長官にメイソンは死んだと報告し、メイソンは姿を消します。
そもそもこの作品、135分もいるのか?
まずアルカトラズに乗り込むまでがやたら長い...
もともと理不尽に幽閉されていたメイソンはすんなり仲間になってくれない上に、カメオ出演していたマイケル・ベイ監督の車を拝借してサンフランシスコの街をグッドスピードやFBIと激しいカーチェイスを展開。
正直この前半部だけでかなりの尺を使っているので、さっさとロックに行けよと思わなくもない...
ここをもっとスッキリさせれば120分以内に収まって話のテンポも良くなったんじゃないかとおもいます。
でもベイ監督はどうしてもこの件をやりたかったんでしょう。まだ何にも始まっていないにもかかわらず、その辺のアクション映画1本分くらいのカーチェイスと大爆発で、テロリストはお前らだと言いたくなる程にほとばしる、破壊のカタルシス。
まあこのメガ盛り感が良くも悪くもマイケル・ベイらしさではありますよね。
肝心のアルカトラズ奪還が始まってからも止むことはない銃撃戦とド派手アクション。
マイケル・ビーン演じるアンダーソン中尉率いるSEALsがあっさりと全滅したのは僕的には残念だったというか、子供の頃は「エイリアン2」の影響で、何となくマイケル・ビーンは最後まで生き残る人っていうイメージを勝手に持ってたので、初めて観たときはすごく悲しくて。
大人になった今でも本作を観るたびに、
今日はマイケル・ビーン死なないで...(´・ω・`)
と祈っています。(バカ)
ド派手アクションてんこ盛りの本作にはそれなりにキャラの濃い登場人物が必要ですよね。
まずは化学兵器専門家スタンリー・グッドスピードを演じたニコラス・ケイジ!
この人って別にイケメンでもないし、禿げてるしと、あんまり主人公的な雰囲気ではないですが90年代アクション映画やラブロマンス物で主演をはることが多かったですよね。
今回は普段はデスクワークなのに、エリート海兵隊と戦う羽目になる不運のFBI職員を演じています。
最初はそれこそ全く頼りがいはないグッドスピードですが、次第に内に秘めていた狂気を爆発させていき、クライマックスには実戦経験0の彼が、まさかの海兵隊とタイマンでぶん殴り合い、毒ガス入りのカプセルを相手の口に突っ込むという荒業を披露します。
く、狂ってる...
でもなんかこういう狂ったようなハイテンション演技をやらせるとニコラス・ケイジはホントに輝きますよね。
次にグッドスピードのメンター、メイソン役で登場ショーン・コネリー!
元英国諜報員ということで、どうしたってジェームズ・ボンドを連想するキャラクターです。
ベテランならではの貫禄が、やたら血圧高めの本作にどっしりとした重みをあたえている(ような気がします)。
そして本作で僕が1番好きなキャラクター、ハメル准将役のエド・ハリス!
本作の主役はこのハメル准将といっても過言ではないでしょう。ていうか、
最も感情移入できるキャラクターがなぜか悪役のハメル。
彼は確かに祖国にに反旗を翻すわけですけど、国に見捨てられて死んでいった海兵隊員たちの鎮魂のため、自らの正義に従って行動したわけです。
そりゃあ男のコ的には、カッケーってなりますよね。
ぶっちゃけハメルのおかげで何とか話をバカバカしくなく観れている(ような気がします)。
結局ハメルは発射されたミサイルを海に墜落させて部下の反乱により死亡します。
子供の頃からハメルが大好きだった僕は、今でも本作を観るたびに、
今日はエド・ハリス死なないで...
(´・ω・`)
と祈っています。(バカ)
その他にもハメルの右腕的ポジションのバクスター少佐のいぶし銀感とか、ハメルを裏切るフライ大尉とダロウ大尉のゲス野郎感とか、毒ガスで顔面が崩壊するシーンは気持ち悪くてよかったとか、ダロウ大尉がミサイルでロケットマンになるシーンは「トゥルーライズ」を思い出すとか、曲がいつ聴いてもアガルとか、好きな部分はたくさんありますよ。
本当に今観ると何もかも雑で、バカみたいな話と言われても仕方がないような映画ではあるんですけど、それでも135分間途切れることなく画面いっぱいに写し出される、
胸焼けしそうなまでの「破壊の美学」と男たちのぶつかり合い。
「やり過ぎ」「過剰」「下品」「不謹慎」「不道徳」
何と言われても僕はそんなマイケル・ベイの作家性が大好きだし、これからも応援していきたいと思います。
個人的評価
7/10
ではまた。
全く関係ないですが、日本の「破壊王」橋本真也選手の入場シーン。
ちなみに本作の製作年と同じ、1996年の高田延彦戦です。(気が利いてるのか何なのかわからない配慮)