暗くなるまで待って
※ネタバレです。
原題 Wait Until Dark
製作年 1967年
製作国 アメリカ
上映時間 117分
監督 テレンス・ヤング
製作 メル・ファーラー
脚本 ロバート・ハワード・カリントン、ジェーン・ハワード・カリントン
出演 オードリー・ヘプバーン、アラン・アーキン、リチャード・クレンナ、ジャック・ウェストン、エフレム・ジンバリスト・Jr 他


あらすじ
写真家の男性サムは空港でリサという女から一体の人形をあずかる。サムは知らないがその中身は麻薬であり、リサは犯罪グループの一味だが、彼女はその中身を独り占めしようとしていた。

詐欺師のマイクと元警官のカルリーノはサムの家の住所にリサに呼び出される。しかしそこにやってきた犯罪グループのロートという男に、麻薬を独り占めしようとしたリサは殺されており、マイクとカルリーノは報酬と引き換えに人形を探すためにロートに協力することにするが、中々見つからない。

そこに帰ってきたのはサムの妻で盲目のスージーだった。三人は芝居をうち、彼女から人形の場所を聞き出そうと画策するが...





ホームインベージョン、サスペンス・スリラーの名作として名高い本作。今までなんとなくスルーしてきてしまって初鑑賞ですが....





めっちゃおもしろかったです!




物語の続きをざっくり書いておくと、三人は警官や、サムの友人のふりをして、彼が留守なのをいいことに、やれ彼が浮気してるだの、その浮気相手が殺された(リサ)だのと嘘っぱちを並べて、その証拠として必要な人形の在りかを教えてほしいとスージーに持ち掛けます。

しかし人形の在りかを本当に知らないスージーは、次第に彼らの行動に不信感を持ち始めます。実は人形はスージーの身の回りの世話を焼いてくれる、グロリアという女の子が勝手に家から持ち出していました。

スージーはグロリアの協力を得て次第に三人の行動の矛盾点に気がついていき、ついに彼らが自分を騙そうとしていることがわかります。スージーはグロリアに助けを呼びに向かわせ、家の明かりを全て落とし、闇のなかで立ち向かうことに。

マイクとカルリーノはロートを裏切って殺そうと考えていましたが、逆に返り討ちにされてしまいます。ついにロートとスージーの闇のなかでの攻防が始まり、スージーはロートをナイフで刺しますが、執念深いロートについに追い詰められてしまいます。

グロリアがサムと警官を引き連れ家に戻ると、そこには事切れたロートとスージーの姿が、ロートの執念もついに力尽きたのです。スージーはサムと抱き合い、物語は幕を下ろします。





とにかくもうすごくよくできてる話というか、



盲目の主人公と三人の盗人という設定自体がもうすでにおもしろそうなんですが、ストーリーの語り口の上手さがすごい。



主人公が盲目の時点で、誰が見ても圧倒的に優位なのは犯人側なわけです。主人公のスージーも可愛らしく、華奢でいかにも頼りなげな女性だし。



完全にナメられてるスージーですが、彼女はその状況を盲目であるという条件を逆手に取って打破していきます。



自分たちの絶対的な優位を信じて疑わない犯人たちが、弱者と決めつけていた主人公の思わぬ反撃に、次第にその優位性を失っていく。




この感じがもうアガる!



スージーは盲目なので変な表現かもしれませんが、



「見る」側の犯人たちが、自分たちも「見られている」ことに気がつく。




こういう次第に立場が逆転していく展開ってすごくゾクゾクします。




この展開をアパートの一室という限定空間を舞台に、細かく散りばめられた伏線と巧みな脚本、演技、演出、撮影などで、ものすごくスリリングに見せています。






個人的に好きだったのは序盤にスージーが冗談で自分のことをバットマンとよぶシーン。バットマンは闇に紛れて悪を裁くヒーローです。後から気がついたんですが、この台詞がクライマックスの展開の伏線になってたんだなぁと。




またスージーの成長物語としてもしっかり楽しめました。




そもそも盲目という難しい役柄を見事に演じきっているオードリー・ヘプバーンの演技力がすごい!




スージーは事故によって盲目となりますが、盲学校に通い、自立しようと家事もできるだけこなそうとしていますが、やはりそれでもハンデは大きく、自信を失っています。そんな彼女が、恐怖に屈せずに立ち向かっていく姿には普遍的な感動があると思いますし、時代と共に変化していく自立した女性像も表現されています。





また本作は、映画館で観る意義のある作品だと思います。そりゃあ映画は映画館で観た方がいいのかもしれませんが、クライマックスの暗闇での攻防シーンは、それこそ劇場内も真っ暗になり、観客も登場人物と同じ状況を体験することになるから、映画館で観てたら本当にハラハラしたろうなぁと。






他にもオードリー・ヘプバーンのパンツスタイルファッションは要注目!とか、ロートが復活して飛びかかってくるシーンはすごく怖かった!とか、好きなところがいっぱいある作品でした。




本当に映画館と相性のいい作品だと思いますので、劇場で観る機会があれば足を運びたいと思います。家で観るときも、スージーのように部屋の明かりをすべて消して、暗くなるまで待ってから鑑賞するのがオススメです。( ´∀` )b



個人的評価
9.5/10


ではまた。



こちらもすごくおもしろかったですが、同じような内容なのに観たあとの印象はまた全然違いますな。