監督:蔦哲一朗

出演:リー・カンション 田中泯

 

 禅に伝わる悟りまでの道程を10枚の牛の絵で表した「十牛図」に着想を得て制作された映像詩。急速に変化していく時代のなかで、住む山を失い放浪の旅を続ける狩猟民の男。山中で黒い牛と出会った彼は、牛を力ずくで連れ帰り、人里離れた民家で共に暮らし始める。生きるために大地を耕す男と牛だったが、自然の猛威を前に息を合わせることができない。しかし、ある禅僧との出会いをきっかけに、男と牛は次第に心を通わせていく。香港国際映画祭で最高賞のFirebird Awardを受賞。

 

 ある日、主人をなくした黒牛を見つけた男は家まで連れて帰り、牛を使って水田を耕し始める。やがて、牛は貸し出した先の農家であっけなく死んでしまう。台詞は最小限で、静かな映画で、いかにも寝てしまいそうな映画だったけど、寝なかった。話はあってないようなものだったけど、不思議と飽きずに最後まで楽しめた。モノクロ映像が美しかった。
☆☆☆(T)

 

監督:ミヒャ・レビンスキー

出演:フィリップ・グラバー ミリアム・シュタイン

 

 冷戦下のスイスを舞台に、潜入捜査で劇団に送り込まれた警察官と舞台女優の恋を描くポリティカルロマンスコメディ。1989年、冷戦下のスイス。反体制派の監視と情報収集を目的に、警察官ヴィクトールはデモ活動を行う劇団の潜入捜査を命じられる。しかし、エキストラとして潜り込んだヴィクトールは監視対象の女優オディールと恋に落ちてしまう。さらに劇団員たちと交流を重ねるうちに、自らの任務に疑問を抱き始める。

 

 冷戦下のスイスでの実話を元にしているらしいけど、どこまでが実話なのかな。共産主義を警戒し、監視リストを作っていたというだけなら、そんなに驚かないけど、警察官がスパイになって劇団に潜入していたのが事実だったら面白いし映画にしたくなるのも分かる。きっと違うだろうけど…。予告編は少しコメディっぽい感じだったけど、実際はそれほど笑えなかったし、それほど面白くもなかった。当時、本当に共産主義をそれほど警戒していたのかな。もうすぐソ連崩壊するけど…。潜入捜査を命じた上司が適当すぎるし、パワハラ野郎で、その結果、コメディでも社会派でもなくなってしまった感じ。恋愛映画としてはベタな作りでそれほど驚きもなくありきたりの展開だった。
☆☆(T)

監督:ティント・ブラス

出演:マルコム・マクダウェル ヘレン・ミレン

 

 史上最も退廃的と言われたローマ皇帝カリギュラを描いた1979年公開の「カリギュラ」を再編集した「究極版」。ペントハウス誌の創設者ボブ・グッチョーネが製作し、倫理観を揺るがす衝撃的なシーンを散りばめ、カリギュラの狂気を独特の世界観で描いた。製作中に訴訟騒動や監督の解雇など様々なトラブルに見舞われたが、公開されると大ヒット。本作はオリジナル素材を脚本通りに再編集したもの。紀元1世紀、ローマ帝国皇室は第2代皇帝ティベリウスの下で堕落。孫カリギュラは祖父ティベリウスを暗殺し、第3代皇帝の座に就く。当初は民衆から絶大な人気を集めるが、次第に内なる欲望を抑えきれなくなっていく。

 

 公開当時は子どもでもちろん見られなかったけど、話題になったことは覚えている。監督は途中で解雇され、脚本も勝手に変えられて脚本家はクレジットに自分の名前を載せることを拒否したらしい。当初の脚本では、絶対権力はいつか落ちるみたいなことを描こうとしていたらしいけど、撮影終了後、グッチョーネ自身が追加のポルノシーンを撮影し、ストーリー展開に必要ないのに加えられた。そんな映画だったのに、興行的には大当たりしてしまったという皮肉。今回の究極版は最初のオリジナルストーリーに忠実に編集されたんだとか。

 結論から言うと、金と権力を持った王の悪趣味な世界を延々と魅せられただけ、という感じがした。いやらしいかと言えば、最初からみんなすっぽんぽんであそこも全く隠さないから、全然エロくなかった。見えそうで見えない、ずっとじらして最後に見せる方がやっぱりいやらしいよね。みんな裸でセックスしてるから風景のようにも見えてしまった。ストーリーで言うと、カリギュラがどんどん変な道に進んでしまったその理由が全く描かれないから面白くなかった。映画では描かれないけど、子どもの頃は戦場に出向いたこともあり、国民的人気者だったとか。王になると、いつ殺されるか、裏切られるかという恐怖との戦いで誰の事も信じられなくなってしまったのかもしれないけど、その辺も表面だけで薄かった。
☆☆(T)

 

 ネイルチェンジしてきた。今回は、新緑のグリーンでお願いしたら、こんな感じ。ミントグリーンのキラキラと黄色い花模様でかわゆい感じに仕上げてくれました。左手の薬指にてんとう虫がちょこんと乗っているのも凝ってるよね。次回は早くも梅雨らしいデザインかしら。一番さわやかで好きな季節の後に、一番嫌いな梅雨がやって来る。(T)

 

監督:深田晃司

出演:齊藤京子 倉悠貴

 

 恋愛禁止ルールを破ったとして訴えられた女性アイドルの姿を通して、日本で独自に発展したアイドル文化と、暗黙の了解とされてきた「アイドルの恋愛禁止」問題に切り込んだ社会派ドラマ。アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンター山岡真衣は、中学時代の同級生間山敬と偶然再会し、恋に落ちる。アイドルとしての立場と恋愛との間で葛藤していた真衣だったが、ある事件をきっかけに衝動的に敬の元へ。それから8カ月後、真衣は所属事務所から「恋愛禁止条項」の契約違反で訴えられた。裁判では、事務所社長やチーフマネージャーらが真衣を追及するが…。

 

 実際にあった、アイドルの損害賠償訴訟からヒントを得て作られたらしい。アイドルが恋愛をして謝ったり、果ては坊主頭になったりすることには違和感を感じていた。誰に対して謝っているの?と。で、映画はと言うと、主人公真衣は恋愛禁止ルールを破っただけでなく、彼氏と一時の感情の高まりで仕事をすっぽかしてしまう。これは恋愛禁止云々の前に、周りに迷惑をかけて損害が出たんだから訴えられても仕方ないと思った。それまでにもっと我慢したり、バレないように努力したり、それでも理不尽な指導があったのなら真衣に同情もできるんだけど。

 とにかく真衣はそういう縛りから解放されたくてアイドルグループを脱退して、訴えられて裁判で闘う。途中、和解を提案されても応じなかった時には彼女が何を考えているのか、分からなかった。彼女は寡黙だし、彼氏にも本音を話さなかいから、あまり共感しにくかった。最後になってようやく彼女が求めているものが分かった。そもそも恋愛禁止は人権侵害だと訴えるのは良かっただけに、途中の過程が残念だった。主演の齊藤京子の演技はアイドルなのにキャピキャピしてなくて落ち着いていて良かった。
☆☆☆(T)