「髪伸ばす気ないの?」


この言葉は、美容室に言った次の日に登校すると、学校の友達に言われる言葉です。

その度に、「短い方がドライヤー楽やん」とか「1回短くしちゃったらそれに慣れて、髪が首にあたるのが気持ち悪くて嫌だ」とか誤魔化します。

今は女性の間でもショートが流行っていて、特に珍しくもないのになぁ、と思いますが。


女子校なのが関係あるかはわかりませんが、部活に所属している7~8割の生徒は文化部。

髪が短い生徒は、バスケがほとんどです。

ですが、僕の同年代のバスケ部はそこまで髪が短い人がいません。

そのため、学年の中でも、ボブ以上の短さの生徒は、僕含めても2人しかいません!


ショートが学年で珍しいせいか、髪型について色々言われます。

「成人式もあるんだし、今から伸ばしておかないと間に合わなくない?」

と言われたことも。

「俺、成人式出ねぇし!てか、お前らと市区町村違ぇし!式場で会う訳でもないのに、なんでお前らにとやかく言われないといけねぇの?」


僕は高校入学当初、いわゆるショートボブという髪型でした。その髪型で、高校2年生の途中まで通っていました。

最初から髪が今みたいに短かったら、こんな質問してくる人はいないのかもしれません。

入学当初はFTMという存在も知らなくて、母親に髪の毛を切ってもらっていたのもあって、(母親は特に髪を切る技術はありません。真っ直ぐ、パッツンに切るくらいしか出来ません)ショートボブが限界の短さでした。

それに、まだ「女の子っぽくしていれば、いつか心も女の子になれる」と思っていた時期だったのもあります。


けれど、高校2年生の秋にFTMを知り、実際に女子校で一年以上過ごしてみたものの、心が女の子になるどころかますます勇ましくなっていき、僕の心は矯正すれば女の子の心にできるものではないとわかると、一生懸命女の子っぽくするのをやめました。

それと同時に生まれた、もっともっと髪を短くしたいという欲求。

最初は母親に頼んだものの、「お母さんができる長さはせいぜいまる子までよ」と言われ、七五三以来ほとんど行っていなかった美容室に、2ヶ月に1回通うことになりました。


「あんまり短くしすぎても、女性っぽい骨格が目立ってしまう」とFTMの方が言っていたので、それも一応考慮しつつ、髪型を考えています。

襟足は刈り上げて、横は耳にかからないくらい、前髪は眉毛が隠れるくらいです。


美容師さんは、七五三のときにもお世話になった美容師さんなので、僕がもともと髪の長い女の子だったことは知っているのですが、割とメンズでも通る髪型に仕上げてくれます。

襟足は毎回遠慮なくバリカンを使ってくれます😆

けれど、決して僕がFTMだとは気づいていない様子。

普通に「大学生になったら彼氏作らないの?」とか聞いてきますから。


初めて美容室で髪を短くして家に帰ると、父親に「よっ、少年!」と言われました。

このときはまだ、カミングアウトしていなかったのですが、うっすら気づいてはいたのかな……。カミングアウトしても、特に驚かれませんでしたからね。

学校に行くと、「なんで切ったの!?」と質問攻め。「前(ショートボブ)の方が良い。違和感」とも言われました。そうなるよなぁ……、とは思いましたね😅

でも、「似合ってる!」「カッコイイ!」「ほぼ男子じゃん‪w」と言ってくれる子も半数くらいいて、思ったより僕の髪型は評判良かったです。

女子校という環境柄、性格がサバサバしていてメンズライクな生徒は人気になりやすいですからね。

実際、僕も髪を短くしてから、声をかけられる人が増え、(いわゆるヨッ友ですかね。高校にもいます、そういう人は)仲良くしてくれる人も増えました😂


女の子達に人気になったのも嬉しかったけど、何より、気持ち的に少しだけ楽になりました。

目も二重ではなく細い僕は、“かわいい系”の顔立ちではないので、思ったよりも女子っぽくなくなります。 

やつれて顔の肉が落ちたのと、老け顔だったのも原因だと思いますが😂

けれど、同い年のストレート男子と比べると、幼い感じは拭えませんが……。

青年っていうよりも、どうしても少年になってしまいます。


それもこれも、ホルモン打てば少しは解決するんじゃろうか……。

とにかく今は、少しでもパス度を上げる努力を続けるしかないですね……。