10月4日、晴れ。

お寺さんで手を合わせる。

今日は、母の命日。


私はとうとう、母の歳を越えた。

母が亡くなったのは私が9歳の時。

私の長女が今年で9歳。


どれほど母に甘えたかっただろう。

子供達をのこしていくことは

どれだけ辛かっただろう。

あの頃の自分と、あの頃の母の気持ち、

そのどちらの気持ちも、

今なら思いやって、慰めてあげられる。


私が小学校に上がる頃には

入退院を繰り返していたので

その顔も、その声も、ほとんど記憶にない


でも、たったひとつ忘れないのは

私はお母さんが大好きだったこと。

今でも、こんな大人になってもまだ

9歳の頃の私のままで

お母さんに会いたい、と思う。


あの日から私の中で消えてしまった言葉

「お母さん」

私の口からその言葉が出ることで

周りの誰かを悲しませるんじゃないかと

二度と使うことがなくなった。

もう一度、振り返る母がいなくても

我が子のように無邪気に

お母さん、お母さんと呼んでみたい。


母代わりを一生懸命にしてくれた

おばあちゃんももういない。

甘えられる場所はもうない。


でもその分、強くなった。

9歳の頃の自分と、

私の子供達、丸ごとみんな抱きしめて

みんなの帰る場所に、私がなろう。

今は私が、みんなのお母さん。