【小説 村田沙耶香 〜消滅世界〜】


セック スはなんのためにするのか。

それについて考えさせられる小説だった。
それは生きる意味にも繋がる。
それって命をバトンリレーして人類を絶やさないためでしょ?という前提から千葉に新しい実験都市が作られる設定。
私達はただバトンを慎重に次世代に渡せばいい。

この実験都市では男性も妊娠できる技術を取り入れ、精子バンクと卵子バンクで子供を誕生させ地域全体で育てていく人類の繁栄に対する効率良いシステムを作り上げた。

現実もある意味そう。
子供、もしくは次世代にバトンを渡したら大人達は本来ならお役御免。
子供が自立した後は家族は解散するのが一番スッキリする気もする。

そもそも女性だけが妊娠できるが故に生まれる男性の疎外感を真逆から描いていて面白かった。
男性も妊娠できてしまう世界の話なため、女性側が私なんのためにこの家族に参加してるんだっけと見失うシーンが面白かった。
そんなの現実世界では男性陣きっとしょっちゅう。
でもなんか初めて想像できました、男性の孤独感を。
役目を終えた自分を褒めて、次の新しい役目を担いに次の世界に堂々と行ける新しいシステムが必要な時期なのかなーとも思う。
全部の夫婦が夫婦関係を維持していくべきって無理があるんじゃないかな。
善悪の刷り込みはいつからされていたんだろ。
自分の中から沸き起こる理屈じゃないから言っている事とやっている事に矛盾が増える。
自分の中に矛盾を見つけた時、目を逸らす瞬間の脳みそは本当にもやんってモヤがかかって面白いですよね。

あからさまに見て見ぬ振りしている自分の弱さを寝て忘れるために人はセック スをするのかもしれません。

なわけ、ねーわって聞こえてきそうなところで今夜はおしまい!