大好きな祖母が天国へ旅立ちました。
95歳の誕生日当日の朝でした。
優しくて賢くて可愛い祖母でした。
和歌をたしなみ、絵を描くことが好きな人でした。
子供の頃私がいけないことをしても、叱るより困ったふうな顔になってなんとかフォローしようとする優しい人でした。
洋裁が得意な祖母が机の上に置いてあった高級な布を、そうとは知らず小学校低学年の私はちょきちょきはさみで裁断し、手縫いでスカートを作ろうと試みて、それを見つけた母がびっくりして叱ろうとしたら、祖母は「まぁいいわよいいわよ」と笑顔で。
その数日後、祖母はその布で綺麗にワンピースを仕立てて、私にくれました。
子供にはもったいない高級な布で。
遊んでしまった私を叱らず、「薫ちゃんは手先のことが好きだからねぇ」と笑って許してくれました。
きっと自分用にスーツか何かを作ろうと楽しみにしていたのでしょうに。
祖母が叱ったり怒ったりした記憶がありません。
穏やかで優しい人でした。
ときどきドジをして、恥ずかしそうに首を引っ込めて笑う可愛い人でした。
たくさん、たくさん、ありがとう。
天国で、歌を詠んだり絵を描いたりしながらのんびり楽しく過ごしてね。
薫