茶事は、ただ単に親しい人を招いて 語らいの場を供することもあれば、祝賀の会や追善の会など 何らかの目的があって催されることもあります。 

いずれの場合であっても忘れてならないのは、季節感と 主客が相互に示す心配りでしょう。

 

このことは、利休七カ条に 言葉によって簡潔に表現されていますが、それを茶席でいかに形にするかと言えば、道具組と人と人との心の触れ合いに他なりません。

 

 

今回の講座では、子どもたち(小学5年生から中学2年生)に 茶事のテーマと正客の特徴が記されたカードを引いてもらい、用意された茶碗の中から テーマに相応しい物を選んでもらいました。

 

例)「夏越しの茶会:正客はイタリア人」「新年の茶会:正客は小柄な祖母」など

 

A君(5年生)は「暁の茶会 時期は2月中旬:正客は仲の良い友人:目的は冬の一番寒い時期の午前4時頃から開き、夜が明けていく様子を楽しむこと」というカードを引き当て、数ある茶碗の中から これを選んできました。

 

楽茶碗の黒い色は闇夜を表し、窯変によって ほのかに赤みがかった部分が 時間の移ろいと夜空の変化を表しているということなのでしょうか?

 

 

私の正直な感想を言うと、この渋い好みにビックリ。

 

子どもをアナドルことなかれ!!

 

「趣向に合わせて道具を選んでね と言っても分かるわけがない」という大人の先入観や、「これぞ子供向き‼」と思って私たちが選ぶ物とは 全くの別物を子ども自身の感性が選んで、お茶碗にのせてきました。