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これまで 皆さんから 沢山の茶やお菓子を頂戴してきました。 それぞれに吟味され、入手が困難な珍しいお品であったり、 高価なお品であったり。 皆さんのご厚意には 本当に感謝しておりますし、 社中の人たちが 折々に その恩恵を享受してきたことも、大変に 有難く思っています。

色々頂戴していながら、誠に申し上げにくいことではありますが、今後 社中の皆様からの お茶とお菓子は、辞退させていただきたく存じます。

 

お茶と関わって長い年月が経つと、お付き合いの幅も広がり、そのようなご縁の中で 頂戴するものの量も増えてきました。 

 

その筆頭は、 お茶・お菓子・お花 の三点。

 

ところが、お茶の先生のお宅に持って行くべきでないものの筆頭もまた、 お茶・お菓子・お花 の三点 といわれています。

 

何故でしょう。

 

先生が既に用意しているから?

到来物が多すぎて、消費しきれないから?

 

そこにも 勿論 理由はあります。 

特に、消費しきれなかった 高価な お茶やお菓子を 処分しなければならない時は、心が痛んで、生産して下さった方にも、持ってきてくださった方にも 申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

 

しかし それだけではなく、 もう一つの理由は、教材としての適正があるかどうか なのです。

 

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意外なことに お茶の教室は、 稽古の場で 美味しいお茶を飲んでいただくことも、 美味しいお菓子を食べていただくことも、 第一義的には目指しておりません。 

 

お稽古の意義は、皆さんが 実際に もてなしをするときに、 いかに環境を整え、 道具を組み、湯相を整えて 美味しいお茶を供するか、 一人一人の習熟度に応じてお伝えし、修練を積んでいただくところに存在しています。 

 

軸を中心とする テーマとストーリーを完結させるために、道具も お菓子も 花も、その全てが 小道具としてあるとしたら、テーマを知らない人には お菓子も花も選ぶことはできません。  「テーマを知らなければ 選べない」という事実に 気づいていただくことも、 稽古をとおした お茶の学びにつながっています。 また時には、 花やお菓子をとおして 千家の歴史をお話することも、残り物の始末をしながら 侘茶の精神に近づいていただくこともあります。

 

皆さんのご厚意を無にするようで、これまで なかなか申し上げることが出来ませんでした。 「今さら・・・?」とお思いでしょうが、お許しくださいませ。

 

皆さんが 実際にお客様を招くとき、 どうぞ とびっきりの お茶とお菓子で もてなしをなさってください。