今や歳時記や季語にも登場する 2月のビッグイベントといえば ヴァレンタインでしょう。 

  

チョコレートを 贈り 贈られ ・・・おしゃれな パッケージに入れられた カラフルなチョコが 店先に並ぶ季節になると、 自ずと 心が浮き立ちます音符 

 

そこで、カップルが愛を誓う St. Valentine's Day に心を寄せながら、 現代人に密着したテーマで 一服お楽しみいただきたいと思います。

 

キリスト教の聖人、St.Valentine からは離れて、ヴァレンタインデーの 日本的解釈 (しかも 私流) です。

 

 

寄付

 掛物 なずな  渡辺省亭画

 

渡辺省亭 (わたなべ せいてい・・・1851~1918は、日本画に洋風の感覚を取り入れた人物として知られています。  

パリ万博への出展や ロンドンでの個展などにより、 ヨーロッパで高い評価を得ていました。  

日本でも 迎賓館七宝額下絵帖を手掛けるなど 実力を発揮した画家ですが、 明治30年ごろから 中央画壇との距離を置いたため、 作品が紹介される機会が ほとんどなくなってしまいました。

 

 

なずな という呼び名は 撫でたいほど可憐な花という意味から 「愛でる菜」→「撫でる菜」→「なずな」 と変化した という説があります。

春から夏にかけて 花穂に白い小さな花を多数つけますが、 花が終わると 無数のハート型の室ができて その中で種子を形成します。

 

 

本席

 掛物  前田昌道筆 清寥々白的々

 

 

茶入・・・丸壺 

 袋・・・二人静金襴

 

二人静金襴 という名称は、 足利義政が 「 二人静 」 を舞った時に着用した能衣装に由来しています。 

静御前の義経への恋慕の情を美しい舞いで表現するこの演目で、 義政は 紅紫色の地に  向かい合う鳳凰の丸紋様を金糸で表した 気品あふれる衣装を身に付けました。

  

 

茶碗・・・黒  銘 光明

 

 

茶杓・・・剛作   銘 愛良夫友

 

20年以上前 「 ヴァレンタインの趣向でお茶が出来ないかしら? 」 と呟いた私の声を聞いた師匠は、 大きな瞬きを2~3度してから 無言のまま天井を見つめていらっしゃいました。   

その表情から 「 戯けたことを・・・売らんかな の チョコレート業界の思惑にのせられたお茶なんて 」 という 声を聞いたような気がしました。

 

翌週の稽古日に 「 これ 私から貴女へのプレゼント 」 と手渡されたのが 師匠手作りのこの茶杓です。

 

銘 愛良夫友

 

なんて読むかって???     

もちろん  I love you ラブラブ恋の矢ラブラブ です

8年前に亡くなりましたが、 ご存命なら とうに80歳をこえています。   

形にとらわれない 自由で楽しい お茶を教えてくださった恩人です。    

どこまでも 柔軟な方でした。

  

 

菓子・・・白鷺宝(はくろほう)  菓匠花見製

丸く形作った白餡を焼き上げて ホワイトチョコレートで包んであります。   抹茶との相性はバッチリ。

 

 

     

 

ラブラブ 音譜季節に即した 愛のテーマで 一服どうぞ