新春早々、我が家の軒先に 思わぬ来客がありました。 凍てつく寒さの中、 今まで見たこともない小動物が 外壁に張り付いています。
黒く短い毛に覆われた 少し不気味な小さい生き物・・・調べてみると これが蝙蝠(ココウモリ)とわかって 更にビックリです。 市街地にも 独りで暮らす蝙蝠がいるんですね。 鍾乳洞や洞窟で見たことはありますが、 もっと大きくて形も違っていたように思います。
飛び去る姿が見たいと、 しばらく眺めていましたが 動く気配は全くありません。 寒くなると 冬眠するはずですから、 ここで越冬することに決めたのか・・・それとも凍えて命を落とすのか・・・。
でも翌朝、そこに姿はありませんでした。 明け方は零下に冷え込むこの季節、 何処かで落命しているのではないかと 見まわしましたが、土の上にもその姿はありません・・・福が落ちずに済んで 良かった---と 内心ホッとしました。
西洋では 吸血鬼のイメージがあり、不気味 かつ 不吉な印象を与える蝙蝠ですが、 東洋では 忌み嫌われる存在ではありませんでした。
むしろ中国では、 蝙蝠(bianfu)が 福が偏り来る を意味する(pianfu)に通じるため幸運の象徴とされています。
日本や韓国でも その影響を受けてか、 蝙蝠を題材とした模様は 吉祥紋として受け入れられてきました。
江戸時代後期には、人気歌舞伎役者 七代目 市川團十郎が 着物の柄として採用したことから 庶民の間でも大流行したそうで、 江戸末から明治の 棗 : 煮物椀 : 盃 などの塗物にも その紋様が沢山残されています。
私は 薄気味悪くて、コウモリ柄を身にまといたいとは思いませんが、 流石に かぶき者。 七代目は着物のみならず、煙草入れの根付など 身の回りの多くの物に 蝙蝠を使っていたそうです。
その名前が 川守 : 幸盛 : 幸守 に通じるが故の 縁起物 とも聞いています。
襖の引手
根付
古伊万里の蓋物