今、国内外を問わず、パリ五輪の話題で賑わっています。
各種目の代表者が今まで自己研鑽して来た姿を披露する
素晴らしい舞台です。心技体の究極が見られるでしょう。
見事な得意技で金メダルを獲得する選手、メダルが獲れず、
絶望したまま泣きわめく選手、等々、様々な姿があります。
真に道を究めた人は勝ち負けに拘らず、毅然として眉一つ
動かさないものですが、その境地に至る者は稀有なのです。
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ブルースリーの師として名高い、香港の武術家・
葉問は次のような言葉を残しています。
勝っても負けても
ただの負けでしかない
葉問(イップマン)1893~1972
香港の武術家
詠春拳の達人
若き日のブルースリー(武術家・俳優)は来る日も来る日も
喧嘩ばかりに明け暮れ、勝敗に執着していました。
その姿を見た師・葉問はブルースリーに対して、敵意ゆえに
相手をねじ伏せ虐げるようなことをすれば、それは結局……、
武術の奥義から逸脱した行為であり、敗北と同じなのだと
諭したのです。本質は「礼儀」「美意識」「哲学」なのだと。
確かに武術は単なる暴力とは違います。作法と美学があり、
暴力を超越した芸術的世界と定義しても過言ではないでしょう。
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昨今のオリンピックはメダルの奪い合いに執着しすぎている
ように思われます。メダルが欲しければ鋳造すれば宜しい。
無欲・無心の境地から生み出される奇跡的な技の美しさを、
もう一度、根本から築き上げていただきたく思うのです。
皆様、どうか涼しい環境で熱戦をご覧ください。