今、国内外を問わず、パリ五輪の話題で賑わっています。

 

各種目の代表者が今まで自己研鑽して来た姿を披露する

素晴らしい舞台です。心技体の究極が見られるでしょう。

 

見事な得意技で金メダルを獲得する選手、メダルが獲れず、

絶望したまま泣きわめく選手、等々、様々な姿があります。

 

真に道を究めた人は勝ち負けに拘らず、毅然として眉一つ

動かさないものですが、その境地に至る者は稀有なのです。

 

        *   *   *

 

ブルースリーの師として名高い、香港の武術家・

葉問は次のような言葉を残しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝っても負けても 

   ただの負けでしかない

 

          葉問(イップマン)1893~1972

                香港の武術家

                詠春拳の達人

 

 

 

 

 

若き日のブルースリー(武術家・俳優)は来る日も来る日も

喧嘩ばかりに明け暮れ、勝敗に執着していました。

 

その姿を見た師・葉問はブルースリーに対して、敵意ゆえに

相手をねじ伏せ虐げるようなことをすれば、それは結局……、

 

武術の奥義から逸脱した行為であり、敗北と同じなのだと

諭したのです。本質は「礼儀」「美意識」「哲学」なのだと。

 

確かに武術は単なる暴力とは違います。作法と美学があり、

暴力を超越した芸術的世界と定義しても過言ではないでしょう。

 

      *   *   *

 

昨今のオリンピックはメダルの奪い合いに執着しすぎている

ように思われます。メダルが欲しければ鋳造すれば宜しい。

 

無欲・無心の境地から生み出される奇跡的な技の美しさを、

もう一度、根本から築き上げていただきたく思うのです。

 

 

 

皆様、どうか涼しい環境で熱戦をご覧ください。 ニコニコ