『人生は希望! 絶望じゃもったい 人間編1』 Kindle版
ほしの しんぞう作から

 

『三国志 諸葛孔明』全3巻DVD 2003年発売を探し出した!!!
三国志の映画でこれが最高に感動する。   
セットはちゃっちいが諸葛亮を演じる李法曽は本当に素晴らしかった。
正史は持っており諸葛亮のところなどは読んだが、三国志演義の方が大衆受けはする。三国志を書いた作家で、司馬炎の晋建国までのお話を進めたのは柴田錬三郎氏である。『英雄ここにあり』全3巻、『英雄生きるべきか死すべきか』全3巻。特に「秋風五丈原」以降のお話も大変面白い。諸葛亮を詩に表したのは李白、日本では土井晩翠(『天地有情』)。北野航行校歌を作詞したのが晩翠であったゆえに、北野高校生とは三国志縁起に早くから興味を持っているらしい(聞いたお話)。既に逝ったタクシー運転手の親父が諸葛亮に関する『星落秋風五丈原』(晩翠)の詩を暗記していたのには驚いた。だから僕はお父ちゃんを大変尊敬している。その一の最後「丞相病篤かりき」僕は読むたびに泣けてくる。僕も諸葛亮の詩を書いた。
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英雄を悼む皆さんの中の英雄は誰でしょうか。人それぞれではないかと思います。しかし、憧れを伴うゆえに英雄と崇め慕うのではないかと思います。ところが現実には、自分は別だがと言うのが往々にして大勢を締めるのではないでしょうか。自分はそうではありません。自分が選んだ英雄は、理想とする人物であると同時に何某かの悲劇性を内包する人物でありました。簡単に言うと悲劇の英雄でしょうか。大いなる理想と希代の能力と共にそれゆえに過酷な苦悩を有する人物でした。『三国志演義』と『正史三国志』とは違うものです。前者は明の時代に羅貫中がまとめた小説であり後者は陳寿が著した正統な歴史書です。自分の英雄は『三国志演義』の中の諸葛亮孔明です。孔明を詠った日本の詩人は土井晩翠で『天地有情』の中の『星落秋風五丈原』という非常に長い詩に諸葛亮を詠っています。前半は「丞相の病篤かりき」で結び、その後「鬼神も哭かむ秋の原」、そして「名はかんばしき諸葛亮」で終わっている。さて、自分が「三国志演義」の秋風五丈原の段を読み終わったとき、希代の名宰相が英雄の条件を備えしかも彼の悲劇性に泣けました。

「英雄の条件と悲劇」ほしの しんぞう作
北伐の遠征で疲れきった兵士たちが
あちこちで寝息を立てている、その夜半
彼は遠き蜀の内務について
詳細な指示を書き続けていた
自らの揺らぎを忘れたような
蝋燭の灯りのもとで
時々左の掌で口を塞ぐ仕種で
搾り出すように咳く以外に
彼の右手を阻むものはなかった
先帝、五大将軍を想いながら
蜀の行く末に繋がるそれを
書き連ねていった彼の手元だけが仄かに明るく
上半身のシルエットが帷に映し出された
守衛の老兵はその影に英雄の姿をみた気がした
彼の英雄は粛々と書を認め続けた
仲達との長引く対峙の中で
職責を遥かに越える仕事を熟していく
寝食を忘れ己の蝕まれていく身体を忘れ
自己に課した
他人から見ると重過ぎる任務を遂行する姿は
まさに鬼神であった
仲達に彼の英雄の現況を問われるや
その使者は誇るようにそれを伝えた
まさに英雄の条件であったと同時に
仲達は英雄の悲劇を見た
そして享年五十四歳
二千年の後にも稀代の英雄として
その名を残すことを知る由もない
その英雄は逝った
その演義をまさに今読み終えた男も
二重の涙で彼の英雄を讃えそして哀れんだ

『人生は希望! 絶望じゃもったい 人間編1』 Kindle版
ほしの しんぞう作から
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