相対的貧困率と相対的早死率 | 感じる科学、味わう数学

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科学は、自然そのものというより、モデルです。数学は、関係性を捉える枠組みです。
だから、正しいか否かより、大事なのは視点です。

 家計の所得や貯蓄が「中央値の半分以下」の割合を「相対的貧困率」と言います。最近では「子供の6人に1人が相対的貧困だ」などと言われています。
 さて、以前の記事で私は官公庁発表のデータから「大人の相対的貧困率」を求めてみました。1つは、厚生労働省のサイトで公表している「世帯の所得の分布(2017年)」のグラフで、そこから「大人の5人に1人が相対的貧困」という結果を得ました。
 もう1つは、総務省統計局のサイトで公表している「二人以上の世帯の貯蓄額の分布(2017年)」でそこから「大人の3.3人に1人が相対的貧困」という結果を得ました。いずれも「子供の相対的貧困率=6人に1人」より大きい値になりました。

 また、別記事で私は、厚生労働省のサイトから「2017年度の簡易生命表」ファイルをダウンロードして、「寿命の平均値と中央値と最頻値」を求めました。「2017年の平均寿命が女87、男81才」であることは厚生労働省が発表している通りですが、他に「寿命の中央値が女90才、男84才」であること、「寿命の最頻値が女93才、男87才」であることを算出しました。

 さて、このたび私はふと思いました。寿命曲線から「中央値の半分以下の割合」を求めたら、いくつくらいになるんだろう? その割合をなんと呼んだらいいのだろう?
 仮に「相対的早死率」と呼ぶことにしましょう。何はともあれ求めてみました。その結果、女の寿命の中央値90才の半分(=45才)以下で亡くなる人の割合は1.4%(10万人のうち1407人)。また、男の寿命の中央値84才の半分(=42才)以下で亡くなる人の割合は2.0%(10万人のうち1974人)。すなわち「女の70人に1人が相対的早死、男の50人に1人が相対的早死」という結果を得ました。こちらは「子供の相対的貧困率=6人に1人」よりずっと小さい値になりました。

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◇ 大人の相対的貧困率     (→ https://blogs.yahoo.co.jp/ccomori/66951205.html
◇ 寿命の平均値と中央値と最頻値(→ https://blogs.yahoo.co.jp/ccomori/66951248.html