昨日の記事はこんな話でした。
もし「h→0 のとき sin h/h→1」が成り立つなら、sin x , cos x の微分・積分がスッキリ・シンプルになる。でも、それが成り立つかどうかを確認するためには「ところで、ラジアンって何だっけ?」を考えざるを得ない。
その続きです。
ラジアンの定義は
1ラジアン=円の半径と弧の長さが等しくなるときの中心角(図1)
ということは、
単位円の中心角θに対応する弧の長さがθ(図2)
となる。なお、このとき
半径1、中心角θのおうぎ形の面積は θ/2(図2)
も言える。さらにそこに sinθ , cosθ , tanθ の長さに当たるものを書き込むと(図3)になる。その図から
線分BH<弧AB<線分AC
が成り立つと言えそうだ。すなわち、
sinθ<θ<tanθ … (1)
とはいえ「sinθ<θ」は自明だろうけれど、「θ<tanθ」に確信がもてないかもしれない。そういうことなら、面積を考えよう。
△OAB<おうぎ形OAB<△OAC
これなら間違いないだろう。それぞれθで表すと
sinθ/2<θ/2<tanθ/2
となって、(1) が成り立つことが確認できる。
続いて (1) の辺々を sinθ で割ると、
1<θ/sinθ<1/cosθ
さらに逆数をとると、
1>sinθ/θ>cosθ
ここで 「θ→0 のとき cosθ→1」 だから、
θ→0 のとき sinθ/θ→1
が成り立つ。
いや、本当はこれではダメで、上のことが成り立つのは θ>0 の場合だけで、θ<0 でも成り立つことを言わなければならないのだが、細かいことはさて置いて、当初の目的、
h→0 のとき sin h/h→1
が示されたものとしよう。