女が男を野に放った | 感じる科学、味わう数学

感じる科学、味わう数学

科学は、自然そのものというより、モデルです。数学は、関係性を捉える枠組みです。
だから、正しいか否かより、大事なのは視点です。

 生物学的に見ると「がメイン(主)で、はサブ(従)」、そういうことなんだと思う。

 めしべは植物の中心に居座って、たくさんのひ弱なおしべを従える。めしべの役割は植物本体を守り、種子(子孫)を育てること。おしべの役割は、花粉を飛ばすこと。
 ところで、なぜ花粉を飛ばすかというと、種の多様性を確保するためだ。1つの個体内で交配したのでは遺伝子が変わらない。それでは危機に対処できず、絶滅の恐れもある。一方、他の個体と交配すれば遺伝子の多様性が確保されて、危機に陥ってもどれかが生き残るだろう。そして進化の芽も生まれる。だから他の個体と交わるために、花粉を飛ばすのである。めしべの戦略である。おしべはそれに従った。
 めしべの戦略が功を奏し、種の存続を成し遂げるとともに、進化の波に乗った。こうして動物が生まれた。めしべはメスとなった。おしべはオスとなった。
 このときメスは新しい戦略を立てた。オスを野に放ったのである。種の多様性を確保するためだ。動物になった以上、植物のように同じところにじっとしてはいられない。花粉は風に乗って飛ぶが、動物は自分の意思で動く。だからメスは、オスの生殖能力をオス本体とともに野に放ったのである。花粉だけを飛ばすのでなく、おしべ丸ごと風に飛ばしたようなものだ。
 その際メスオスに1つのプログラムを組み込んだ。オスメスの尻を追いかけるように。植物と違ってオスは自分の意思で動くのだから、なんらかのプログラムを組み込まないと、オスメスの狙い通りに動かないかもしれない。狙いとは「多様性を確保しながら子孫を残す」こと、それだけだ。そのプログラムさえ働けば、風まかせ運まかせの花粉より、だいぶ精度も上がるだろう。実際メスの思惑通りに動物が繫栄した。地上に生物多様性が花開いた。

 だからの尻を追いかけまわすのである。がスケベなのも、無駄に交尾したがるのも、いろんなに目移りするのも、が仕込んだプログラムの故である。の戦略通りには動かされている。
 はこうして出来上がったものだから、もともとはアホな動物なのだ。だからにしてみれば、は必要なんだけど、面倒くさいものなのである。

・・・次期アメリカ大統領の向こうを張って過激な男性蔑視発言を繰り広げてやろうと思ったのだが、割と真面目な学術論文のようになってしまった。力不足。。。