身震いが、したんだ。
鼓動は速くなり、瞬きすら忘れていたと思う。
その間の思考も、記憶さえもひどく曖昧で。
耳が、自分の全てが夢中で追う。
その声を。
何だこの感覚。
複雑な形のパズルのピースが、カチリと噛み合った様な…とでも言えば良いのかな。
これだと思った。
探していたものを、見つけられた?
だけどきっと、抜けられないんだ。
もうきっと。
本当はわかっていたんだ。
触れれば最後、間違いなく堕ちる。
だから数年前のあの日、
その声に耳を塞いだのに。
それからも、距離を置いて来た筈なのに。
もう逃げられない。