左側に感じる熱。ただ事務所まで、コピーしに行くだけなのに。心の準備に、随分と時間を要した。だって。出勤しているのは知っている。しかもコピー機のすぐ近くの席だもの。例え嫌でも姿を見る。やっぱり、居た。後ろを向いて話していた。コピー機に手を掛けた桃を、ちらりと振り返る。あまりに一瞬過ぎて。目を合わせるだけで、精一杯だった。いつもみたいに、笑って挨拶したかったのに。声を聞けた。それでも十分だよね。少しでも長く居たくて。必要以上にコピーしたのは、ここだけの秘密だよ。笑