香りと記憶のひと。下を見ながら歩いていた。擦れ違った人が、ポンっと頭に手を乗せる。びっくりして顔を上げると。懐かしい香りと笑った顔。いやだ、なんで。なんで居るんですか?なんでそんな顔で笑うんですか?嗚呼、そうか。奥様、もう此処には居ませんものね。不覚にも。涙が出そうだった。