一人のドライブ | 思い出の彼方

一人のドライブ

金曜の夜
ウイークデイの疲れと
少しの充実感を覚えながら
ドライバーズシートに身を埋める

クーペからセダンへ
マニュアルからオートマへ
時を重ねて変化はしているが
ステアリングを握るオレの目は
ボーイズレーサーを気取っていた
君と出合った頃のままなのさ・・・

軽やかなセルに誘われ
眠っていた心臓に火が燈る
シルキーと謳われるエンジンは
アクセルワークに忠実に
官能的な音楽を奏ではじめる

誰もいない助手席
慣れたはずの空席に
なぜだろう
今日に限って
君の幻影を求めてる・・・

さぁ、走ろうか。。。

そうつぶやいて
右足を静かに沈める
センターラインが導く地平線
きっとその向うには輝く何かがあるはずだ
そう信じて、オレは夜の闇に溶けていく・・・