裕子との出会い | 思い出の彼方

裕子との出会い

描かれたのはいつも
モノクロームの風景だった。

それでも、少しずつ
大学生活が充実してきた。
学業は2度目の奨学金授与者になり
サークルも4部から2部リーグに昇格。
塾と家庭教師のアルバイトはコマ数が増え
同級生のお坊ちゃま達との交流も増え始めた。

私は思い切って
自動車を新調した。
マイケルJフォックスが
テレビで宣伝していた車だ。
フロントスクリーンに映る
見慣れた街の風景は
自分に用意された演出・・・
そんな錯覚に陥った。
車内には佐野元春の「SOMEDAY」を
幾度となく繰り返し、流していた。

ある日、いつものようにバイト先に向かうと
見慣れない子が座っていた。
塾長が、私に新しい仲間を紹介した。
事務手伝いをすることになった裕子は
少しはにかみながら、私に挨拶をした。

私のパレットに
新しい色が落とされた瞬間だった。