職場に嫌いな人ができた

 

できたと言うより、正しくは嫌いだったけど嫌いじゃないと自分に言い聞かせていた

 

 

誰だって好きで人を嫌いになるわけではない

できることなら毎日笑って平和に暮らしたいはずだ

 

 

その人は躊躇なく私を攻撃した

私はなす術なくその攻撃を直に食らい続けた

 

 

その結果体に不調があらわれた

なんともなかった仕事に行きたくなくなり

休みの日まで体調不良、その人についてで思考を全て占領されていた

 

 

耐えかねて母に電話した

 

 

母は、

『それはあんたが舐められるからよ』

と言った。

 

 

 

今まで嫌なこともニコニコして流していた

それが原因だと言う

 

 

 

ちゃんと意思表示をして、

嫌な人間になる事も必要だと毋は言う

 

 

 

たとえ職場で嫌な人間になろうと、

自分の本当の居場所を大切にできれば良いじゃないかと言う

 

 

 

私もそれには頷ける

でも出来るかと言われたら、それは無理だった

できないと言うより、やりたくない

 

 

 

私にとっては人に嫌われると言う事自体が酷いストレスなのだ

嫌われたくない、誰だってそうだろう

嫌われて攻撃されてそれに対して反撃しなければならないような状況になるくらいなら

空気になった方がよっぽどマシだ

 

 

 

母が言うには毋は今まで大して人間関係に困ったことはないそうだ

それを聞いた時、少しだけ相談したことを後悔した

 

 

 

私はきっと、頑張ったねあんたは悪くないよと言われたかっただけなのだろう

もうこれ以上頑張りたくはなかったのだ

 

 

 

私自身、舐められやすいと言うことは十分と分かっていた

今後も今回みたいな状況になったら泣き寝入りするしかないのか、

私自身が変わらなければならないのではないか

そう分かっていた

 

 

 

でもやはり誰かに嫌われるということは私にとって無理な事だった

私は他人に認められることで自分の存在を自覚するタイプで

他人に否定されてしまえば自分自身では自分の価値を見出せないのだ

 

 

 

たとえ嫌な人間になって攻撃させないようにすることができたとしても、

私には本当の居場所という所がない

 

 

 

母は再婚して優しい旦那さんと愛犬がいて良いだろう

帰れば誰かいて話だって聞いてもらえる

一緒にご飯を食べられる人がいる

そういう居場所が母にはある

 

 

 

だが私は上京して一人暮らし

家と仕事場の行き来で

帰ったら質素なご飯を食べて寝る、起きたら仕事に行くという繰り返し

友達だって多い方ではないのだ

 

 

 

自分の居場所なんて職場しかないのだ

それが無くなれば私はひとりだ

 

 

 

そこで敵を作るということは

そこまで強くない私にとっては難しいことだった

 

 

 

ひとりじゃないということは人を強くする

でも反対に一人ということは人を簡単に脆くする