自分の輪郭がぼやけるような
少しずつズレてもう一体の人間が生成されていくような
そんな感覚
きっと生成されている訳ではなく
元からいた自分が
何かの弾みでできた切れ目から溢れ出すような感じ
気付かなかった
何かがおかしいという違和感だけがあって
自分のものではない感情が暴れだす
でもそれは自分じゃない誰かではなくて
今まで自分でも知らないうちに抑え込んでいたもう一人の自分
今まで自分が自分だと信じていたものは私自身ではなく
小さい頃から無意識のうちに作り上げられてきた自分
ずっと嫌だった
上手に笑えない上手く話せない周りのみんなに取り残されているようなあの感覚
あの子だったらもっと笑ってくれるのに
あの子みたいに笑ってよ
あなたはこれしかできないから
嫌だった
自分は本当につまらない人間だ
自分でも思う
こんな奴誰も好きにならないし
誰にも必要とされない
自信なんてカケラもない
あの子みたいに明るくみんなと話せたら
みんなに認められて賞賛されたら
望みどうりにしていれば求められるようにしていれば
ひとりにならないですむ見放されないですむ
だからみんなが望む人間を演じ始めた
コピーしはじめた見て盗むのは簡単だった
自分の嫌いな自分が出てこないようにコントロールするのはなかなか難しかったけど
本当の自分が出て来なければ心が楽だった
人に嫌悪感も抱かないみんなに優しい自分
うまく包み隠せれば自然と人が寄って来た
だって私の理想像をコピーしているのだから
でもそれを続けるには私の心は脆すぎた
元々傷つきやすいから傷つかないように作り出したこの方法
何もないように過ごしていても中身は気づかないうちに
殴られて刺されて
外の光を浴びることもできず誰の視界にも入ることなく
ボロボロになっていた
自分でも無意識に抑えていた自分
本当の自分が誰なのか自分でも分からなくなっていた今まで
本当の自分は私にも気付かれないうちに傷付いて痛がって悲鳴を上げていた
急に訪れる破壊衝動も泣き喚く夜も
それがきっと原因
気付かなかった
誰か助けてと泣いていたじゃないか
昔からずっと