ある朝、バスに乗っているとA子が途中から、なんと松葉杖を使ってバスに乗車してきた
私は驚いて目を丸くした
よく見ると、右足が包帯でぐるぐる巻きにされている
松葉杖でバスに乗ってきたA子は、バツの悪そうな顔をして私に話してくれた
『実は昨日、学校帰りに遊んでたら帰りが遅くなっちゃって、家に着いたのが24時くらいだったの。それで、お母さん怒っちゃって家に入ろうとしたら鍵がかかってて。それで、いつもなら私そんなことしないんだけど、その時はなんかすっごいむかついて、ドアを思いっきり飛び蹴りしたの。そしたらドアのガラス部分が割れちゃって、その破片がふくらはぎに刺さって大量出血しちゃって、、、、』
どうやら、A子のお母さんが怒って鍵を閉めてしまったことに腹を立て、ドアを蹴り飛ばし、ガラスの破片が足に刺さって大怪我をしたらしい
その後救急車で運ばれ、病院の夜間急患で手当してもらったのだそうだ
とても二足で歩ける状態ではないので、しばらくは松葉杖で生活することになってしまったという
飛び蹴りなんて言葉がA子から出てきただけでびっくりしてしまった
『そんなこと、、A子がするなんて信じられない。帰りが24時とかもありえないし、どうしちゃったの?なんか最近変だよ』
『私もわからない。自分でもびっくりしてるし、すごく反省してる‥なんか、最近変なんだよね、たまに自分が自分じゃないみたいな感じがするんだよ』
しかも驚くことに、A子はドアを飛び蹴りした時の記憶がないという
気付いたら病院にいたのだそうだ
『やっぱり最近おかしいよ』
『だよね、自分でもそう思う。お母さんにも言われた』
私たちは少し疎遠になってからはじめて、そんな会話をした
実はA子のお家は会社を経営しており、社長のお父さんは会社の売り上げが落ちたり、どうも最近調子がおかしい、という時はよく神社の神主さんを呼んで、お祓いをしてもらうような人だった
A子の家の会社の屋上には大きな祠もあり、毎年そこでも全社員を集めてお祓いをしている
たまたまその時期、A子のお父さんもなんだか調子が悪い、会社の成績も良くない、ということで、自宅でお祓いをしてもらうことになった
A子のお母さんも、最近A子の様子がおかしいので、一緒にお祓いをしてもらいたいと言ったらしい
居間に家族全員集まり、A子も正座をして、お祓いを受けたという
その時、蝋燭を何本か立てて火をつけるのだが、A子が言うには、その蝋燭のロウが、溶けて下に垂れるのではなくなぜか上に上に伸びていったという
重力に逆らって上ヘ上へ伸びていくので、A子は自分の目を疑った
そのままお祓いが終わると、A子のもとに神主さんがやってきて
『蝋燭のロウが上に伸びたので、よくないものが憑いていましたが、もう大丈夫です。』
と言ったという
その後、A子はこれまで通りのいつものA子に戻り、帰りも遅くなることはなく、付き合う友達も元のグループの友人達に戻った
たまに派手なグループの子達と遊ぶこともあったが、遅くまで一緒に遊び回ったりするようなことはしなくなった
『やっぱり何か憑いてたんだね!こわいね』
『本当だよー。でもお祓いしてもらって本当によかったよー😅』
などと話し、私たちはまた今まで通り仲良く一緒にいるようになった
しかしこの話にはまだ続きがあって
③へつづく