「残業申請をしたのに残業代が払われなかった!」タイトルのトピックを見つけて、元労務担当者として気になったので覗いてみました。

この件について不信感をしめしている方の意見はこう。

「残業申請をしたのに給与に反映されてなかった。申請とは別に勤務台帳というのに残業時間を記入するのは忘れたけど、申請してるんだから経理の計算ミスではないの?」

というご意見。

察するに…

会社のルールが従業員に周知されてなかったケースかなと思いました。

未払残業代が問題になっている昨今。企業側も時間外労働…いわゆる残業…については対応に四苦八苦しています。
もちろん、減らせればそれに越したことはないし、何よりも上司がきちんと部下をマネジメントできるかどうかの問題にもなります。

私も労務の仕事をするまでは、残業について勘違いしていたところがあります。
残業は、自分がしたくてするものではないという点です。

残業は、あくまで会社(上司)から命じられてするものだということです。
自分で「仕事終わらないから残業しま~す」ではなく、「仕事が終わりそうにないので、今日○時間残業したいのですが?」
と、申請し、上司がその残業が必要かどうか(他の人に振ることで全体が提示に終わるならそうした調整をすべき)判断した上で申請を承認する。

と、いうプロセスが必要になるのです。

(これが、正しい方法です)

現実問題、こんなまどろっこしい手順を踏んで残業しているケースは少ないとは思います(笑)
もっと、あうんな感じでやってると思うのですが…原理原則は、これです。

この原理原則を知らないと(説明しておかないと)会社のルールを作ってもみんな守りません、忘れます。
なんのために必要なルールかわからず、ただ手続きだけが増えて面倒だ!申請してんだからいいじゃん!て、ことになるんですよね。

件の会社はおそらく

1.残業申請をする
2.勤務台帳に残業した事実を記入する←おそらくここに記入した段階で上長の承認を得たとみなす…というルールにしてる。

残業が認められるプロセスを2ステップにしていると思われ、1.はしたものの、2.がなかったので実際は残業はなかったものなとみなし、給与計算から省いたのだと思います。

申請しても本当に残業したかどうかは勤務台帳を確認するまでわからないとされているのではないでしょうか?

未払い残業問題が取り沙汰されている昨今、私は、こういう対応をして残業代を支払う仕組みを整えている会社は偉いと思います。
総務人事労務に約5年携わってきましたが、はっきり言えばブラック企業があるように、ブラック社員もいます。

ブラック社員もリストにして業界に回したいくらいです(笑)でも、個人でそれをやるとプライバシーの侵害だ!とか、もっと勘違いな人は個人情報保護法に違反してる!とか…それは関係ないっつ~の。

定時内にはネット、LINEしまくりで定時近くなってから仕事をして「あー今日も忙しい!」

寝言は寝ていえ。です。

本来、それをマネジメントするのは上司の役目です。残業申請と承認の仕組みをきちんと運用するには、上司部下がお互いきちんと業務量を把握している必要があります。この仕組みは単なる残業代計算のためではありません。
マネジメントをうまく回すための一つの手段なのです。

部下に必要以上の負荷がかかっていないか?もしくは部下が時間をうまく使えていないのではないか?
残業が増えるには理由があります。
負荷を減らすのか、お尻を叩くのか。

それができないから、ダラダラ残業なんて問題が起こるし、全ての残業代をカットなんて発想が起こります。
私はこの問題はその場しのぎの対処療法ではもう解決にならないところにきてると思っています。
時間をかけても経営陣と従業員が向き合ってお互いの悪いところを認めた上で改善していかないと、進まない。

この件では私も2年戦いましたが(笑)経営陣をうまく巻き込むことができなかったことに、自分の力不足を感じる問題でした。だからこそ気になってしまった。

せっかくよい仕組みを入れている会社には、従業員にもなぜそれが必要なのかという点も含めて説明し理解してもらえばこんな誤解で会社に不信感を持つことを防げるのになぁ…と、勿体なく思ったのです。