雨の金曜日

金曜日の朝、起きぬけにこぢろが一言。

王様になる夢みたの。

へえ、何したの？王様になって。

あのね、てぇ、ふってた。こうやって。

…手を振るジェスチャーをするこぢろ。なるほど。王様っていうか…天皇みたいだYO!
そんな目覚めの一日が始まったのですが。

ほのぼのとした始まりとはほど遠い、何ともすべてが噛み合わないどうしよもない一日だったのです。
そう、とにかく最低の一日でした。

何もかもが押して押して、ついに保育園の延長番発動。限界まで引っ張り、ダッシュで向かうも山手線で急病人発生！申し訳ないが、このクソ忙しい時間に倒れてんじゃないよ！と毒づきつつイライラ。

実は今日、保育園に出掛ける前、こぢろに言われたのです。


「今日は早く帰ってきてね」

金曜日だし、早めに帰って、ゆっくりご飯を食べ、一緒にカーズ２でも観ようかと約束したのです。
こぢろには言わなかったけど、一緒にアイスでも食べながらゆっくり観ようと思ってたんです。

が。

蓋を開けたらこのていたらく。

アイスどころか、夕飯もままならない時間に。
保育園の玄関で靴をはかせながら謝りました。

「ごめん。ごめんね、こぢろ。ママ今日早く帰るっていったのに。約束破ってごめん。今日早く帰ってカーズ２観るって言ったのに。ごめんね」

「…いんだよ。いんだよママ。カーズ２はいつでも観られるんだから」


保育園の玄関で、こぢろを抱きしめ泣きました。


ああ、私はこの生まれてからたった三年しかたっていない、こんなにも幼い息子に、どれだけ支えられているのだろう。
どれだけ癒されているだろう。

…時にきりきり舞いさせられるけど（笑）

もうね、今日一日の仕事のことなど吹っ飛びましたね。どうでもいいわ
ちっちゃいちっちゃい（笑）つーか、どうでもいいわ。仕事なんて（笑）

生きる力がわきました。

冷たい雨の金曜日。
でも、小さな息子に支えられ私は頑張れます。

サイバラリエコの漫画の中で「男には一生わかるまい。女の人生のほうが何倍も楽しい」てのがあるけど、まさにそう。この感覚、夫にはわかるまい。オンナでよかった。か～ちゃん万歳！
働くハハには時々こんなご褒美がある。だから続けられる。だから頑張れる。

あらためて思ったけど。

ああ、私はもう仕事が一番じゃない。
子どもが一番なんだ、と。

私は神様は信じない。父が死んだその時から神様に祈ることは一切やめた。でも、思った。
神様ありがとう。
私のところに子どもを授けてくれて、ありがとう。

…でも、明日はきっとまたこぢろとするのだろう…大げんかを。

ずっと一緒に家の中で過ごす、雨の土曜日…


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