今から約1年前のこと
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入院して約3週間が経過した頃。
病棟の看護師さんたちとも顔見知りになり、担当医(私の入院を決定した人。入院することになった診察では泣かせてくれたけど)ともだいぶ普通に話せるようになった。→そして担当医の裏話を私は看護師さんからごっそり仕入れていた。私と同じ年で独身、キョンキョンのファンで、お嫁さん募集中。しかしKY発言が多く常に看護師たちから「そんなこと言ってるから彼女できないんですよ」と突っ込まれていることなど。あーあ、先生だめだよ、女性の多い職場で女性を敵に回したら。笑
不定期にやってくるお腹の張りは一向に改善されないが、点滴の濃度を上げておさえているのでひどくはならない。腹囲はもはや90cmに達し、夜中の張り&胎動は激しく「もはや早く生んでしまいたい」と願う毎日。
しかし、この病院で出産できるのは35週を過ぎてから。あと2週間は我慢しなくてはならない。
というか、あと2週間は生まれてこられちゃ困るのだ。多いなる矛盾。
こんな風に入院する前も、低気圧が近づいてきた日はそう言えばお腹が重くて調子が悪かったなーということを思い出し、その朝の回診で何の気なしに先生にそう言った。
その朝の天気予報で低気圧が近づいて天気が崩れるというニュースをちょうど見た直後だったということもある。
「そういえば、低気圧が近づいてくるとお腹重かったんですよねー」
「医学的根拠はないけど、統計的に見て台風が近づいてきたりすると分娩が増えるんだよね。そういうの関係あると思うよ」
「そうなんですかー」
「でもさー今日は日曜日だし、そんなことになったら困るなぁ、ちょっと」
「あーそうですね。日曜日ですもんね。いや、そうなりたくないですよ、私も」
そんな会話をかわした日の午後、入院生活最大のピンチがやってきた。
その日はお昼からダンナがやってきた。
最初は他愛もない会話をしていたのだが、どうもお腹が痛い・・・
しかもなんだか規則的に痛くなったり・・・痛みがひいたり・・・
いやな予感がして時計とにらめっこ。
・・・これって15分間隔できてる?
ダンナが「ナースコールしようか?」心配そうに言う。
どうだろう。でも、これで痛みが遠のく日もあったし、というか入院してからこんなことの繰り返しで結局大丈夫だったじゃん私。
が、、、どうも痛みはおさまらない。しかも本当に規則的になってる気がする。
ピロピロピロピロリー(ナースコールbyエリーゼのために)
ガラガラガラガラ・・・お腹の張りと赤ちゃんの心拍を計測するためおなじみのNST計測機械が運ばれてくる。
手早く看護師さんが私のお腹に装着。
計測機から吐き出される計測用紙には規則正しく、力強いお腹の張りの様子がきれーいに描かれている。
にわかに緊迫する病室内。
こういうときの男性ってある意味かわいそう・・・おろおろしてやることないんだもん。
その時看護師さんが口走ったセリフが私の緊張感を一気にMAXに持っていくことになった
「大変!このままじゃ陣痛がきちゃうかも。今日は日曜日で・・・受け入れ病院もいっぱいだし・・・しかもさっきこの病棟から1人母体搬送出したばかりなのに」
まじですか。
ウテメリンの濃度はすでにMAX。これ以上はあげられない。
次の手段としてはマグセントという点滴を追加すること。これはウテメリンよりさらに強い副作用があると説明されていた。私の担当医はマグセント投与にあまり積極的ではなかった。
日曜日の病院は先生も手薄。当番医がやってきて内診をする。幸い、子宮口には変化が見られない(ここが開いてきちゃうと生まれてしまうのだ)
私の点滴にマグセントが追加された。
マグセントを投与しても張りがおさまらなかったらどうするんだろう。
受け入れ病院が見つからなかったらどうなるんだろう。
「頑張って。母体搬送にならないようにしましょうね」看護師さんが言う。でも、私はどう頑張ったらいいんだろう。私は何もしていない。何もしていないのに勝手にお腹が張るのだ。それは自分の意志ではどうにもならない。私が張らないでといくら願ってもだめなのだ。
私だって母体搬送なんていやだ。まだ2000gしかないこぢろを生んでしまうのは嫌だ。
だけど、とまらないのだもの!!!
36歳、不覚にも涙が落ちる。
私は決してよい妊婦ではなかった。
妊娠がわかった時、「仕事ができなくなる」という理由で心から喜べなかった。
体を大事にしなさいと言われても「大丈夫大丈夫」といって夜遅くまで仕事をしたり友人と食事に出かけたり・・・やりたい放題の妊婦だったと思う。
その罰が今ここにきているのだろうか。
でも、その罰なら自分が受ければいい。今生まれてきてつらいのは赤ちゃんなのだ。まだ十分に育ち切っていない状態で生まれてきてしまい大変なのは私ではない、赤ちゃんなのだ。
自分を責めた。そしてこの張りを自分ではとめられないことに死ぬほど悔しい思いをした。
父が亡くなったとき、「神様なんていない」と思った。それ以来初詣にも行っていない。
神様なんていないんだ。助けてなんてくれないんだ。
でも、私はこの時神様に祈った。
「お願いします。こぢろが無事でありますように・・・」
マグセントの投与が始まって2時間ほど経過し、あれほど規則正しく張っていたお腹は落ち着きを取り戻した。気がつけばとっぷり日が暮れていた。
おろおろしていたダンナもほっと胸をなでおろしている。
強い副作用があると聞いていた、マグセントだが予想以上につらくない。
ちょっとだるい・・・そんなくらいだ。
しかもこれで張りが落ち着くなら副作用なんてなんともない。
ちなみに、この日は分娩室も満床だったということだ。
低気圧・・・
おそるべし。