「育児を楽しんでね」
こぢろが生まれた当初、そんな言葉を複数の人からいただいた。
そうだ、育児を楽しもう。自分が楽しまなかったら子供だって明るく育つわけがない。
そう思った。
でも、病院から退院して実際の育児が始まったらわかった。
楽しめない。
そして、楽しめない自分に落ち込んだ。
多くの人が通っている子育てという道。
なぜ、自分はこんなにうまくいかないのか?楽しむどころか苦痛である。
泣きやまないこぢろを抱えては、涙にくれた。
「育児を楽しんでね」
この言葉が私の頭の中を呪文のようにぐるぐる回っていた。
そして、楽しめない自分に対してダメ出しをしていた。
こぢろに笑顔で接することのできない自分を責めた。
笑おうとしても笑えない。
悩む日々が続いた。
でも、7か月を超えてこぢろも保育園に通い出し、私も仕事に復帰し、時間的に余裕はなくなったけど気持ちに余裕が戻ってきた今思う。
最初から楽しめるわけがなかったんだ。と。
というか、「楽しまなくちゃ」という強迫観念みたいなものが自分自身を追い詰めていたんだ。と。
何もかもが初めてで、ちょっとでも失敗してしまったら死んでしまうんじゃないかという思い。
必死だった。
でも、それはそれでよかったんだと今になったら思う。
だって「初めて」なんだもん。
そして「命」なんだもん。
私にはそんな余裕はなかった。
こぢろの目が見えるようになり、首がすわり、昼夜の区別が付き始めた頃から少しずつ少しずつ、楽になってきた。(楽というと語弊があるかもしれないけど、少なくとも「途方にくれる」ことは減ってきた)
そして、やっと最近やっと、こぢろを見て笑っている時間の方が長くなってきた気がする。
私自身が「育児を楽しもう」という呪縛から逃れられてきた気がする。
楽しんでいないわけじゃない。でも、育児ってそんなに楽しいばかりのものでもない。笑
とにかく必死必死必死で何もかもが体当たり。
ま、それでいいんだなって思えるようになってきた。