査察調査の実態(ほ脱所得の確定について) | 御茶ノ水の税理士の税務調査日記

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査察調査、税務調査対応が得意な御茶ノ水の税理士です。
調査で感じたこと、脱税裁判傍聴の感想などについて書いています。

みなさん、こんにちは。
池袋の税理士おおむかいです。


査察による強制調査の場合、着手日(ガサ入れ日)以降は、犯則嫌疑者やその関係者は、週に1から2回の頻度で国税局の担当部署に呼び出され、そこで質問、聴収が行われることとなります。



査察調査の流れ

その目的のひとつに「ほ脱(※脱税)所得の確定」が挙げられます。
つまり、査察調査官としては、脱税した金額、その脱税した金額を何に使ったか、又はどこに貯めているかについて、その根拠となる次の証拠を積み上げる作業が行わるわけです。

・差押証拠物などの物証
・臨検、捜索、差押てん末書、
・質問てん末書
・証明書
・現預金等確認書

これらの書類を明示して、それらに基づいてほ脱側を算出する経緯や金額が記載されることとなります。

ほ脱所得の確定方法には「PL立証」と「BS立証」がありますが、「PL立証」による方法が一般的なようです。

PL立証は、収益と費用の差を計算してほ脱所得を確定する方法ですが、取引の原始簿が破棄されていたりする場合には、裏帳簿から実際の取引関係を把握したり、実際の収益や費用を認定するに足る証拠により補足したり、合理的な方法での推定計算によりPL立証は可能となります。

BS立証は、財産がどれだけ増えたかにより、ほ脱所得を確定する方法であり、理論的には、PL立証によるほ脱所得とBS立証によるほ脱所得の金額はイコールとなります。

実際の査察調査の段階では、この金額が一致しないこと(不突合)も多々あるわけですが、この場合、その不突合の金額が大きいということは、査察調査が不十分であることを意味します。

たとえば、収益の把握漏れ、架空経費の看過、犯則嫌疑者以外の資産の混入等がある場合には、不突合が生じるのですが、査察調査官は、できるだけこの不突合がない形で質問てん末書を作成することが求められます。

つまり、ほ脱所得の確定が困難な場合(不突合が大きいな場合)には、査察調査が長期化し犯則嫌疑者のビジネスに対する影響も大きくなることとなります。

国税局による査察(マルサ)調査に入られて、毎週局に呼び出しされている方、池袋の大向税務会計事務所へご連絡ください。