グルベローヴァを、恐らく5年ぶりくらいに聞いた。前回はフィレンツェ5月祭の東京公演。メータ指揮の椿姫。これは、今まで聞いた椿姫の中で最高だった。花から花へ、そしてfolia, foliaへ行くところ、どちらも完璧な出来。メータの指揮も、彼の60年代の録音とは打って変わって、円熟というか、聞かせどころをわきまえたものだった。トゥーランドットでの彼の指揮にも驚いた。最も、ミュンヘンのトリスタンは凡庸だった。ウィーンでのティーレマンのトリスタンに比べると。

正直ベルカントはよくわからない。ずんちゃっちゃ、ずんちゃっちゃばかりで。前に東京で会った知り合いは「若い頃はワーグナーをよく聞いた。今は聞かない。ベルカントが歌手の技巧を一番よく表現する」と言っていた。今回の公演は、その言葉をまざまざと思い出させてくれた(とはいえ、ベルカントが好きになったかというと、そうでもない)。

グルベローヴァは、さすがに全盛期のように最高音を鳴らしまくることはできなかった。が、それをカヴァーしてあまりある技巧。彼女のような、いつ演じても完璧に演じられる人を、まさにヴィルトーゾとでもいうのだろうか。

とはいいつつ、やはり彼女は盛りを過ぎている。今回最も感動したのはテノール。彼はすごかった。他のブログでも彼の歌唱をたたえていたが、なぜか人気が出ないよう。しかし、こういう人を常に連れてこれるヴィーンの底力を見せ付けられた。オケも、一軍は台湾で小沢征爾とモーツァルトをやっていたみたいだが、正直十分。彼らがROHに来ないかな、なんて罰当たりなことを考えたりしていた。