久々に日本でコンサートに行きました。新日本フィルのトリスタンとイゾルデ。

Tristan: Richard Decker
Marke: Bjarni Thor Kristinsson
Isolde: Eva Johansoon
Kurwenal: Shigeo Ishino
Brangane: Mihoko Fujimura
Christian Arming
新日本フィルハーモニー

日本は誰も写真を撮っていなかったので、今回は写真なしです。
(カーテンコールでも写真は禁止なのでしょうか?)

オーケストラは、Liebestodを除いてかなり控えめな演奏。アルミンクも、鳴らすというよりは抑える方が多く、恐らく歌手とのバランスを考えた上でのことだと思いますが、盛り上がりよりは精緻、な演奏でした。コンサート形式でいづれにせよ歌手が先に立つので、ここまで抑えなくても、という箇所があった感じがします。新日本フィルは、良くも悪くもオペラずれしていない演奏でした。

異論はあるかと思いますが、今回の白眉はヨハンソンのイゾルデ。先月のウィーンのワルキューレと同じように、圧倒的な声量で押しまくり。イゾルデなんだからそこまで、というところもありましたが、最後まであの声量が続くと圧巻。先月のウィーンの声楽家の女性のコメント通り、オーケストラに負けずに声が届くイゾルデ。ニルソンとかリゲンツァ、ジョーンズ系で、大音量で音痴で声が続く。久々に安心して聴けるイゾルデでした。

トリスタンを除く主役級はどれも良く、クルヴェナールの石野さんという人も、多分声量は十分ではないが歌が非常に上手い。藤村さんはいつもながら安定していて、しかもいざという時の声量がすごい。マルケのクリスティンソンは、初めて聞きましたが、北欧系(アイスランドが北欧系なのかよくわかりませんが)の金属的な、というより、クルト・モルみたいな木管系のバスで、特に低音が響く、良いバスでした。グルネマンツとかにはぴったりでしょう。

ヘルデンテノールは相変わらず不作ですね。ヴィントガッセン、コロに続くヘルデンは出ないのでしょうか?

忘備録的にこれまで聴いたトリスタンを書いておきますと

・ ベルリン国立歌劇場 確かイルジ・コウトの指揮で、テオ・アダムがマルケでした。まだ高校生くらい。
・ ベルリン・ドイツ・オペラ DVDにもなっている、コロとジョーンズ。コロが手抜き、ジョーンズが音痴で参りました。
・ ベルリン・フィル ザルツブルグ復活祭の日本公演。これまで聴いた中で最高でした。オーケストラが完璧があまりに完璧で、恐らくカラヤンの演奏でもそうだったんだろう、というような、歌手は言ってみれば第二バイオリンくらいの(堀内修)演奏だったように記憶しています。ボラスキは安定せず、祈るような気持ちで愛と死を聴いていた記憶があります。
・ バイエルン国立歌劇場 メータの指揮で、生で見る前にNHKで放映されていたのですが、特にマルケのモルが本当に良かった。NHKホールであそこまで響いたのは、私の観た限りでは音痴のジョーンズとモル、あとはボリショイのネステレンコくらいです。
・ ウィーン国立歌劇場 二回観ました。最初はティーレマンで、CDになっているやつです。CDで聞くと、テンポの変え方とか強引で、オケも何となく薄い響きなのですが、生で聴いたときはすごかった。次が確か2008年、セゲルスタムの演奏。ヘルツァリスというソプラノが出ていて、彼女が意外と人気だったのですが、セゲルスタムが鳴らしすぎて全く声が聞こえず。愛と死なんてオーケストラだけか?という感じでしたが、責めるべきは指揮者じゃなく声のでないイゾルデです。先月のワルキューレみたいにヨハンソンが出ていれば、相当凄まじい公演になっていた気が。これまでの中でも一番唸るワーグナーでした。
・ スカラ座 苦手なバレンボイムで、やはり苦手でした。歌手も(サルミネンもいたし、イゾルデはマイヤーだったのですが)相当よかったし、演出はパトリス・シェロー。最高の組み合わせだったのに、何故かバレンボイムのワーグナーは好きになれないんですよね。うなりもあるし、音も大きいのに。

ということで今日は声のトリスタンでした。思い起こせば、ここまで声が主役のトリスタン、というのは初めてな気がします。演出は、パワーポイントのプレゼンみたいな感じで、その場の情景(1幕なら船の舳先、2幕は大樹と見張りの塔)をCGで映しだすくらいのものでしたが、トリスタンならあれで十分でしょう。かなり記憶に残る演奏でした。


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