※ 画像は映画ドットコムからお借りしました
『ミッドサマー』
2019年/アメリカ R15+ 147分
原題または英題/Midsommar
監督/アリ・アスター
Amazon Prime Video
公開当時話題になって、確かコロナ禍真っ最中だったので、劇場には行かなかったのですが、WOWOWで配信されてすぐ見ました。
大体の流れは掴んでいて、その時は特に感想を抱かなかったんですが、改めて(コンディションの悪い時に)見ると、ズドンと心をえぐられますね。
響かない人には響かない、響く人には響く、という感じですが、全体的にとても不穏で、とにかく嫌なものを見せつける事に特化した映画なので、覚悟を持って見ないと、あとからメンタルズタボロになりますよ……、というタイプの映画です。
家族を喪った女子大生のダニーは、酷いトラウマを抱えて、パニック障害を患っていた。
双極性障害を患う妹から妙なメールがあったかと思うと、妹が両親を道連れにしてガス自殺した事が分かった。
数か月後、彼氏のクリスチャンが、大学の仲間たちと共に、友人の一人であるペレの故郷である、スウェーデンに行く計画を立てていると知り、同行する事にした。
友人の中の一人は、スウェーデンの夏至祭を卒論のテーマにすると言っていて、その旅行にとても前向きだった。
ホルガ村に着くと、花畑の中で白い服を着た人たちが一行を迎えてくれ、まるで楽園のようだと感じる。
ペレも両親を亡くしたが、故郷の人たちのコミューンにより、家族として育ててもらい、孤独や悲しみを感じる事はなかったと言う。
ホルガ村では90年に一度の祝祭が行われ、ダニーたちはそれに立ち会う事となったが、何だか様子がおかしい。
まるで演じているようにとても幸せそうに、花冠を被って踊っている女性たちや、男女関係なく同じ屋根の下で寝起きするコミューンの在り方。
ホルガ村の人々がみんな白い服を纏っているなか、普段着の自分たちがとても浮いているように思える。
やがて祝祭が始まり、ルーン文字の形に配されたテーブルに全員がつき、誕生日席に座っている人が食事を始めると、隣の人から次々に食べ始める異様な雰囲気。
そして、年配の男女が神輿に担がれ、崖の上まで行ったかと思うと、二人は掌をナイフで深く傷を付けられ、ルーン文字が刻まれた石に血をなすりつける。
二人の年輩の男女は、そのあと躊躇わずに崖の上から飛び降り、命を落とした。
パニックになる大学生たちに対し、村の人々は目の前で飛び降り自殺が起こった事を平然と受け入れている。
儀式の一つで、老いや将来どうなるかに不安を抱いて生きながらえるよりは、自ら進んで命を投げ出し、大いなる輪廻の輪に入り、次に生まれた子に自分の名前を継がせるのが、ホルガ村の風習だと言われる。
大きなショックを受けたダニーは、ただでさえパニック障害を患っているのに、精神的に不安定になっていく。
だが卒論のテーマにしようとしているジョシュは、夜抜け出して聖典をスマホのカメラで盗み撮りをし、その後行方不明になってしまう。
村の異様な雰囲気に耐えきれず、もう一人の女子学生が帰ろうとしたが、彼女の彼氏がおらず、変。
加えてマークが立ち小便をした木は、村にとってとても大事なもので、村人の怒りを買った彼も姿を消す。
ペレは必死に大学生たちと村人との間をとりなそうとするが、基本的に村人側。
残り二人となってしまった、ダニーとクリスチャン。
二人の身に待っていたのは……。
改めてまともに見ると、異常な事が起こっても、まったく動じていなくてそれを普通と思っている人が本当に恐くて。
グロシーンもあるんですが、それもまた丁寧で儀式めいていて、余計にグロテスクなんですよね。
死というものは、みんなが忌避していて(中には望む人もいますが)なるべく長生きをし、健康でいたいと思うものなのに、ホルガ村の人は役目を終えたあとは喜んで命を差しだす。
その決して、一般的な常識とは相容れない思想を持った人たちとの、心の絶対的な差が、最後まで解消されないというのが、一番怖かったように思えます。
2026年2月5日(木)

