"お誕生日おめでとぅ!!" 



 0時過ぎじゃない、 

時差−2時間。 

深夜2時に送った1本のLINE。 



 付き合って初めての彼の誕生日。 



一緒に迎えるはずだった。 



 張り切って考えてたサプライズ。 

椋雅の喜ぶ顔が見たくて。 

それだけだったのに…。 



 「ほんまにごめん!」 



 海外での仕事も少なくない彼。 

この日も急遽タイへ行くことにったって 

直前で聞かされた。 



 「怒っとる?ほんまにゴメン…」 



 椋雅が悪いんじゃない。 

謝って欲しいわけでもない。 

そんな事は嫌ってくらい分かってて。



 「怒ってないよ!仕方ないもん!ねっ!笑」



 精一杯の強がり。

 大丈夫、大丈夫…

 必死に自分に言い聞かせて笑顔を見せた。



彼がどれだけ頑張ってきたか、

 そばで見ていたからよく知ってる。

 誰にでも出来る事じゃない。

 尊敬もしてる。 

 誰よりも理解して応援してあげたいし、 

一番の味方で有りたい。 



そう思う気持ちだって決して嘘じゃない。


 それなのに…



 弱い自分が邪魔をする。 

私、最低だ…




 誕生日当日。 

予約していた横浜のレストラン。

 こうなったら…って一人で向かった。 



 夜景は宝石箱をひっくり返したみたいに 

キラキラと輝いていて。 

幸せそうに寄り添うカップル。 

手を繋ぎ合わせてはみんな笑ってた。



 そんな中一人…。

 「やっぱ来なきゃ良かったかな…」 

 ため息と一緒に思わず漏れた言葉。 



携帯に目を向ければ二人で撮った

 笑顔の写真で溢れてた。



 "グスン…" 

 鼻の奥がツンとなる。 

私、バカみたい…。 



やっぱり帰ろ…そう思った矢先。



 「〇〇?!」 


 風にかき消された小さな声はどこか

聞き馴染みがあって。

もう一度呼ばれてハッとした。



 「椋雅……。なんで?」



 息を切らして肩で小さい呼吸を繰り返す。 

その瞬間涙で目の前が揺らいだ。 



 「何でって、約束したやろ? 

なんとか間に合った!よかったー!!」 



 「待って、意味わからない! 

だって、だって今日タイで、、、 

し、仕事で帰りはまだ先だって、、

キャッ…」 



 突然引き寄せられる。 



いつもより少し力の籠った両腕。

 ぎゅっと包みこんでくれて。 

椋雅の温もりを感じた。 



 「ほんまに、泣きすぎやって。

 …いつも寂しい想いさせてほんまにゴメン。」



 ううん、、、って言葉にならない言葉で 

首を左右に何度も振る。



 「仕事、無理しちゃった?」 



 「無理…ちゃうな。 

俺がお前に会いたかってん。」 



 「椋雅…。お誕生日おめでとう!泣」 



 涙の跡。

指で優しく拭うとそのままそっとキスをした。 



 「あっ!!!!」 



 「ビックリしたー!もぅなんやねんって!笑」 



 「私、プレゼント持って来てない!!」



 「そんなんええって。笑」



 「でもっ!!」 



 「じゃあさ、代わりってわけやないけど…」 



 ポケットに手を突っ込んで 

私の手のひらにそっとそれを乗せた。



 「これって…」 



 小さなクマぬいぐるみが付いた

彼の部屋の鍵。



 「少しでも寂しい思いさせんように 

めっちゃ考えとったんやけど… 

ごめん、これしか思いつかんかった!」 



 エヘヘって照れくさそうに頭を掻いて 

ハニカムその姿。 

 沢山考えてくれたんだと思ったら 

その気持ちが嬉しすぎて。 



合鍵を両手でギュッと包み込むと

また涙が溢れる。 



 「椋雅、カッコ良すぎだよ…?

 でもこれじゃどっちが誕生日か分からないね!笑」



 「ほんまやね!笑 

ほな、今日何してもらお〜かな?笑」 



 悪い顔して見せる笑顔はまるで子供みたいで。



 「それやったら…」 



 耳元でそっと囁いた言葉に

身体は一瞬で熱くなった。



 「もうバカっ!!笑」 



 二人で笑い合って再び見つめ合うと 

自然と引き合うみたいにもう一度キスをした。



「椋雅、お誕生日おめでとう♡

 世界で一番、だーーぃ好きだよ♡」 







 一日遅れちゃったけど 、

椋雅お誕生日おめでとーバースデーケーキキラキラ

ずっとずーーっと大好きだょピンクハートピンクハートピンクハート